「じゃあ、次は俺が。」
泣きべそをかいた酒井の横から、北山が黒沢に皿と抽選券を渡した。
「はい、じゃあ1回回してください。どぞ〜。」
北山は言われるがままにレバーを回した。
ぽこんっ。
青玉だ。
♪からんからんから〜ん!
「おめでとうございます!3等賞です〜!」
二度目の当たり鐘が鳴り響く。
「3等はですねぇ〜・・・」
黒沢はまたもみのもんたのようにフリップの紙のカバーを捲った。
「じゃ〜ん!『3等賞、Kaoru Kurosawa Presents 靴磨き券』で〜す!」
「いや、自分で磨けるからいらないよ・・・」
「いやいや、ぴっかぴかにしてあげるから!ね!」
「・・・はぁ・・・」
「じゃあ、次、俺いくわ。」
村上が皿と抽選券を手渡し、レバーをくるりと回した。
ぽこんっ。
白玉だ。
「お、5等賞だね。」
「ご・・・5等・・・ハズレか・・・?」
「ハズレなんてないよ〜。5等はですねぇ〜・・・」
黒沢はフリップのカバーを剥がした。
「はい、『5等賞、「遠い約束」シングル&DVDとアルバム「Love Anthem」のセット』で〜す!」
「いらねぇ〜!!」
「えぇ?!何でよ〜!頑張って作ったのにぃ!」
「いや、そりゃわかってるんだけどよぉ・・・」
「じゃあ、はい。これ。渡しとくね。」
黒沢は村上に『ぽんソロセット』をぐいぐい押しつけた。
「だぁ〜かぁ〜らぁ!それ買ってもう持ってるからいらねぇんだって!」
「え・・・?」
きょとんとする黒沢と、顔を真っ赤にする村上。
「いや、あの、ほら、あれだよ・・・リーダーとしてメンバーの活動を把握しておくのは当然のことだろうが・・・」
村上はそっぽを向きながら呟いた。
「てっちゃんかっこいい〜!」
安岡が村上に拍手を送る。
「もしかして『スコブルイー』も?」
北山が村上に質問する。
「ん、まぁ・・・な。紙巻きも買った・・・」
村上は頭をポリポリ掻き、俯いた。
「てっちゃんかっこいい〜!」
安岡がまたも拍手する。
「じゃあじゃあ、エンジェルハートは?」
酒井がすかさず尋ねる。
「一応・・・DVD−BOXと・・・CDを・・・」
「てっちゃんかっこい〜!」
「じゃあ『ぴあ』の連載は?」
黒沢が畳み掛けるように問い掛ける。
「あ〜もぅ、うっせぇな!毎回チェックしてるよ!」
「あ・・・ありがとうございます・・・」
安岡はさっきまでの口調を改めて、赤面しながら村上に礼を言った。
「おぅ・・・」
村上は伏し目がちに返事した。