「いや、やっぱすげぇな、●●●の事務所でけぇしレコード会社がチカラ入れてるからさぁ、差し入れとか用意してくれんだろうな〜。」
村上がうらやましそうにぼやいた。
「ちょ、本人が用意した可能性は考えないワケ?」
呆れた口調で質問する黒沢に、村上は「そりゃねぇな。」と即答する。
「お前相変わらず夢ないねぇ〜。」
「えぇ、おかげさまで〜。」
そんなココロのこもってないやりとりをする黒沢と村上の横から、北山が割って入る。
「てっちゃん、ブレイクしてる●●●に対するヤッカミ?」
「そりゃあさぁ、『何であんなんが売れてて俺らが売れねぇんだ?』って思うだろ・・・
結局事務所にカネとチカラがあったら売れ・・・ふがっ、ふがふぐっ!」
グチる村上の口を、酒井が慌てて塞いだ。
「口を慎め!盗聴されてたらどうすんだ?!それこそ俺たちカネのチカラで消さ・・・ふががっ!」
「酒井さんも相当ヤバいこと言ってんじゃん!」
村上の口を塞いでいた酒井の口を、今度は安岡が塞ぐ。
苦しくなってきた村上がタップアウトしたところで、塞がれていたふたりの口がようやく解放された。
「ウチはまだ売れてないし事務所もちっちゃいから、差し入れとかそういう気の利いたことはできないだろうね。」
北山が冷静な答えを導き出す。
「カネがあれば売れるって思うんだったらさ〜、村上が自腹払って差し入れすりゃいいじゃん。エンゼルパイ代を削ってでも。」
「アホか!あれ以上どうやって削るんだよ?!削ったゆえのエンゼルパイなのによぉ!」
「じゃあエンゼルパイの差し入れとか。」
「誰がやるか!俺の貴重な“食糧”だぞ?!」
黒沢と村上のやりとりを、最年少・安岡が「アホくさ。」とバッサリ斬り捨てる。