「で、誰がこの大きいのつける?」
「はぁ?!!」
「5つ出てきた段階でイヤな予感してたけども!」
「んなもん大きさなんてどうでもいいじゃん!」
北山の不思議トークに目一杯突っ込む3人。
しかし当の北山は、いたってマジメな表情のままだ。
「いや、重要だよ?自然界ではツノが大きい方が求愛の時に有利なんだから。」
「紫電改!」
「いやいや!紫電改じゃなくて自然界だから!」
「そもそも人間なんだからツノで勝負しなくたっていいでしょうに。」
「いや、人間にも本能的にそういう感覚あると思うよ?人間だってしょせん動物なんだし。」
「あ〜もう、コイツにでもつけとけ!」
大ぶりのツノを掴んだ村上は、会話に入らずまだまだ絶好調絶賛熱唱中の黒沢に歩み寄ると、頭にそれを取りつけた。
「♪だ〜だばだ〜ば・・・ん?」
急にトナカイのツノをつけられた黒沢は、歌を中断して何が起こったのかと鏡に写る自身の姿を確認している。
「ぶっ!何アレ?!」
「やべっ、シュールすぎる・・・!」
「あんなカンジなのにトナカイ界最強ですよ・・・!」
「トナカイカイ・・・!」
まだ事態を把握できていない様子の黒沢を見て、4人は笑いを堪えた。
「俺もつけてみよっと!」
安岡がおもむろに小ぶりな方のツノに手を伸ばし、自ら頭の上に乗っける。
「『こんな小さいツノでは、自然界ではあまりにも無力・・・(低音)』」
北山の声色をマネをして呟く安岡を見ながら、北山がツノ2つを手に取る。
「ほら、てっちゃんも、雄二も。」
そう言い、村上と酒井の頭に無理矢理ツノを取りつけた。
「『こんな小さいツノでは、自然界ではあまりにも無力・・・(低音)』」
「『こんな小さいツノでは、自然界ではあまりにも無力・・・(低音)』」
「『こんな小さいツノでは、自然界ではあまりにも無力・・・(低音)』」
「・・・いや、俺そんなことヒトコトも言ってないし・・・」
黒沢を除く3人が北山モノマネ合戦を繰り広げている最中、ドアがノックされた。
「はぁ〜い。」
『クリスマス・イブ』のつづきを歌うのをすっかり忘れてしまっている黒沢が、返事をしながらドアを開けにいく。
「お疲れさまで〜す。おや、トナカイですか。」
スタッフが黒沢のツノに目をやりながら尋ねた。
「うん。なんかね〜。」
黒沢の口から何かしらの理由が語られるのでは、と返事を待ったスタッフだったが、よくわからない相槌だけで終わってしまい、仕方なく他のメンバーに目を向ける。
「お、みなさんもですか。」
「おぉ、北山ごっこしてた。」
「え?『北山ごっこ』?トナカイのツノでですか・・・??」
今度は村上の唐突な説明に、意味がわからないといった様子。
「ああ、気にしなくていいですよ、意味なんてないんだから〜。」
「そうですよ、我々のやることに意味を求めちゃいけませんよ。」
安岡と酒井がフォローになってないフォローに回る。
意味のないことほど説明が面倒なことはないのだ。