「・・・な、お前ら虫とか捕ったりした?」
閑話休題、村上が話題を変えた。
「えっ、虫ぃ?捕ったよ〜。」
さも当たり前のように答える黒沢。
「お前捕まえられんのかよ?!」
「ひっどぉ〜!俺、うまかったんだぞ〜?!トンボとかもさぁ、指にピタ〜って止まってさぁ、それをそ〜っと捕るんだよ。」
「お前に捕まる虫ってどんだけどんくさいんだよ。」
「うるっさいなぁ!じゃあ、そういうお前はどうなんだよ?!」
「俺は〜、すごいぜ?・・・『ヘイタイムシ』って知ってる?」
村上が4人の顔を見回すが、皆知らないようで首を傾げている。
「こんなさぁ、1センチぐらいの虫なんだけどさぁ。そのヘイタイムシってやつを〜、こうやってヒジの関節に挟んで根性試しするワケだよ!
そいつが噛むとすっげぇ痛くてさぁ!プック〜って水ぶくれができんだよ。・・・って、やったよな?ガキん時。」
「そんなのやったことないぞ?」「何、その遊び〜。」「初めて聞いた〜。」「想像がつかないんだけど。」
村上が熱く語ったのに対し、4人の反応は薄い。
両者には赤道直下と北極点ほどの温度差がある。
「・・・え?もしかしてこれ大阪だけ?」
「そうなんじゃない?」
「とりあえず大阪が野蛮な街だってことだけはわかった。」
「黒沢・・・」
またまた訪れる沈黙。
閑話休題、今度は安岡が口を開く。
「俺はね、ベーシックな虫はよく捕まえたよ?でもね、俗に言う害虫は嫌い。」
「あ、わかる。ゴキブリとか蜘蛛とか、そういうヤツね。」
「そうそう!」
安岡の話に北山が食いついた。
今度は話が広がりそうだ。
と思いきや・・・
「スパイダーマンは好きだぞ?」
親指と人差し指だけを伸ばしてLの字を作り、そのまま手を前に差し出すようにして、糸を投げるポーズをする酒井。
このヘンな返しに、また話はヒーローものに戻っていく。