「スパイダーマンなぁ・・・あれ衣装だろ。ダサくね?」
村上が酒井の意見に眉をひそめる。
「そう、衣装ですよ?だからその衣装がカッコいいんじゃないですか〜。赤と青のコントラストで〜。」
「いやいや、色はどうでもいいんだけどさ、あれを作ってる時の姿とか、着替えてる姿とか想像したら情けなくねぇか?
例えば、全身タイツの股の辺がフィットしないからってパンスト穿くオバハンみたいにさぁ、土俵入り状態で脚広げてしゃがんだりしてたりとかさぁ〜。」
「ははははは!た、たしかに!夏場とかね、特にね・・・汗で着にくいだろうしね・・・」
北山、大爆笑。
発言がウケた村上はちょっとうれしそうだ。
「あれさぁ、蜘蛛に噛まれたからスパイダーマンになったんだよね?」
この安岡の言葉をキッカケに、また少し話は逸れ始めた。
「そうだが?」
「糸投げたり壁歩いたりできる蜘蛛をチョイスしてるからカッコいいけど、あれ、他の虫だったらビミョ〜だよね。それこそ、ゴキブリとか。」
「ゴキブリに噛まれて、コックローチマン?イヤだな〜!」
安岡の例がこれまた強烈で、北山がすぐさま反応する。
「うわぁ、コックローチマンて!ゼッタイ人気出ないよ!」
「人々を助けるために出てくるのに、結局人々に好かれることなく去ってっちゃったりな!」
「得意技は、起死回生の突進!」
「死にもの狂いのカウンターか!?」
今度は話が続いている模様。
黒沢・酒井も流れに乗っかっていく。
「カマキリとかもヤだな。カマキリ。強ぇけど、目とかすっげぇ恐ぇ。」
「カマキリ拳法!ラビーみたい!」
村上のカマキリ案にいち早く反応するのは黒沢。
さすが、コサキンフリークだ。
「チョウチョとかなら一気にファンタジーになるよね。」
北山の案はホントにファンタジーで、突如としてキレイな流れに転じそう、だったが。
「えぇ?そうかぁ?オンナだったらいいけどよぉ、オトコだったらファンタジーでもなんでもないじゃんよ。」
「男にチョウチョの羽って!オカマバーのショウタイムみたいだな!」
村上と酒井の意見に、またまた話は微妙な方向へ。
「北山あたりに羽
生えてたらまだ辛うじてチョウチョだけどさぁ、黒沢あたりに生えてたらガだろう、ガ。」
「えっ、ガぁ〜?!ひっどいなぁ〜!」
「しかもアレだぜ、黒沢のセンスだと羽に変なガラ入ってて、小動物とかも食わねぇの。イヒヒッ。」
村上の意見に、黒沢以外の3人が賛同。
一斉に拍手が起きる。
「そういう村上だって、それこそカマキリじゃないのぉ?!」
「なっ、何だと?!」
「ホントだ!テツ、カマキリっぽい!黒ポンうまいこと言うねぇ〜☆」
「おまっ、安岡っ!お前はアレだ、ハチだ、ハチ!」
「なっ、何でぇ?!」
「甘いのん扱うのうまいし?笑顔で針刺しそうだし?だからお前はハ・チ!」
「がはははは!ハチとは、またいい例えだ!」
「何だよ!酒井さんだってイナゴじゃん!」
「はぁ?!何だぁ?!」
「あはははは!お米大好きだもんね、雄二は!」
「何を北山っ、お前、それこそチョウだろうがっ!花から花へと〜♪」
「おお、ホントだ!」
「む〜・・・ひど〜・・・」
し〜ん・・・
5人分の虫チョイスが終わったところで突如静寂が訪れる。
皆テレビに見入るフリをしながら、他のメンバーがそれぞれの虫に噛まれて能力を開花するまでを想像していたから、静寂が生まれたのであった。
「・・・噛まれて能力が身につくんならいいけどさ、『ザ・フライ』みたいにテレポーテーションの装置でさぁ、」
「黒沢、その話はキモいからもういい・・・」
さらに微妙な方向に話を持って行こうとする黒沢を、村上が制止する。
またまた訪れる静寂。
スタッフからのお呼びの声は、まだかかりそうもない。
完。