一寸の虫にもゴスの魂
またまたある日の控え室。
自分たちの出番が来るまで、控え室に備えつけられているテレビに全員で見入っていた。
お昼の情報番組で、仮面ライダーシリーズのイケメン出演者たちに大興奮の女性ファンの映像が流れている。
「仮面ライダーなんかさぁ、俺らの時代は男のもんだったのになぁ。」
「ホント。昔は子供のファンしかいなかったよね〜。」
村上の言葉に安岡も同調する。
「昔みたいに『男クサい!』って感じの主人公じゃなくて、今は『イケメン!』揃いですからねぇ。
しかもひとつのシリーズに『ライダーなんとか』『ライダーかんとか』ってイケメンがいっぱい出てくるシリーズもあったんですよ?」
「へぇ〜、戦隊モノ化してるんだね。」
酒井の補足に、北山が感心したように呟いた。
「でもさぁ〜、これ、女の子たちキャーキャー言ってるけど、元々はバッタだよねぇ〜。」
黒沢の言葉で、妙な間ができる控え室。
その間を埋めるように、酒井が口を開いた。
「あっ、バッタだけじゃないですよ?例えば『仮面ライダーカブト』とかね、ちょっと前だと『クウガ』・・・これはクワガタなんですけど、そういうのもあります。」
「はい、酒井さん質問〜。」
「はい、何ですか安岡くん。」
「『アマゾン』は何?なんか、あの〜、半魚人みたいなやつ!」
「あ〜れ〜は〜、たしかトカゲかなんかだったと思うぞ?」
「えぇっ?!」「トカゲ?!」「マジかよ?!」「全然カッコよくないね・・・」
アマゾンのモデルがトカゲと知り、4人は同時に驚きの声を上げる。
「黒ポンさっき『女の子たちバッタ見てキャーキャー言ってる』みたいなこと言ったけど、女の子だけじゃないよね。
俺たちだって子供の時バッタとかトカゲとかのヒーローに夢中だったんだもん。」
北山のもっともな意見に『何でそんなものに夢中だったのだろう?』と疑問に思うとともに、少々のガッカリ感が漂い始める。