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先頭を歩く俺に、後ろからピッタリとくっついた状態で歩いている黒沢さんが「ここの角を右〜。」なんて指示を飛ばす。
ライブの構成の話なんかも語ったりするのだが、縦1列で歩いてるもんだから、非常に歩きづらいし話しづらい。

「あ、あそこだよ。あのグリーンの屋根の・・・」

黒沢さんが指差す方向を見ると、ちょうど店の前辺りをジャージ姿の中学生が団体でこっちに向かって歩いてくるのが目に入った。
その中のひとりが俺たちを指差す。

「あっ!ゴスペラーズだ!!」

やばいっ!厄介なヤツらに見つかってしまったではないか!

ここでバトルモードに突入。

『てきの せんせいこうげき!』

中学生が俺たちを囲み、手を無理矢理握ってきた。
写メールを撮っているヤツもいる。
パシパシと肩を叩かれ、ふたりの体力が奪われていく。

「こらっ、力士じゃないんだから肩叩かない!」
俺の剣のような鋭い攻撃(口撃)に敵が少しおとなしくなる。

「ごめんね〜、順番にサインするからさ、写メール撮るのやめてね。わかった〜?」
黒沢さんが呪文を唱える(お願いする)と、中学生たちは「は〜い!」と元気な返事をして、携帯電話という武器を封印した。

なんとか全員にサインをし終わって、「勉強頑張れよ〜!」なんて言ってやると、「ゴスペラーズさんもね〜!」と手を振り、皆うれしそうに去って行った。

『ゆーじぃ たちは しょうりした!
 510Gを てにいれた!』

勝った・・・

だが、苦戦を強いられた関係でかなり体力が奪われてしまっていた。
カレー食ったら体力戻るかな?

そんなことを思いながら、店のドアを開けた。


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