すると今度は、視界いっぱいにマップ画面が展開された。
が、日本地図に今いる街が赤く点滅しているだけじゃないか!
んなもん、わざわざ点滅しなくても今どの辺かってことぐらいわかってるってば!
まったくもって、使えない機能だ。
呆れてグッと堅く目を閉じていたら、そのままウトウトと居眠りしてしまった。
「もうすぐ着きますよ。」
肩を揺すられ、目を覚ます。
「・・・はよ〜っす・・・」
目を擦った後、大きく伸びをしたその手で棚に置いたカバンを下ろした。
列車は徐々にスピードを落とし、ホームに滑り込んでいく。
この駅は、先程の駅とは違って有名人向けの脱出口があるのだ。
おかげでファンに遭遇せずに車に乗り込むことができたので、体力を消耗することはなかった。
車に乗り20分ほどで、今夜宿泊するホテルへ到着。
ロビーでチェックインの手続きを待っていると、黒沢さんが話し掛けてきた。
「このホテルの近くにうまいカレー屋があるんだけど、酒井も行く?」
「あっ、はい!行きます!」
俺が元気よく返事すると、残りの3人が「“地元料理探検隊”出動〜!」と言いながら、素早くクロークに荷物を預けてホテルから出て行ってしまった。
もしかして・・・カレー誘われる前に逃げた・・・?
「あれ?みんなどっか行っちゃったな。仕方ない、ふたりで行くか〜。」
「・・・イベント発生?」
「へ?」
「いや、こっちの話っす・・・」
俺たちふたりも荷物を預けてホテルを後にした。