そうこうしているうちに、車は駅のロータリーに到着し、自動でドアが開いた。
「駅に着きました。降りますよ。」
「は〜い。」
また縦に5人連なって駅を闊歩する。
「きゃ〜っ!!」
近くで黄色い声が上がった。
げ・・・ファンに見つかった・・・。
と思った途端、いきなりバトルシーンに突入した。
『てきの せんせいこうげき!』
「なにっ?!」
オイオイ、ファンが敵かよ!
話し掛けられ、握手を求められ、5人の体力のゲージが少しずつ減っているのが見て取れる。
敵の先制攻撃が済み、次のターン。
全員『にげる』を選択する。
『ユタカ は にげだした!』
『てつや は にげだした!』
『ゆーじぃ は にげだした!』
『よういち は にげだした!』
『カオル は にげだした!』
5人でホームに向かい全力疾走。
なんとかファンを振り切り、無事グリーン車へ乗り込んだ。
「ふぅ・・・朝からやられたなぁ・・・」
指定された席に腰掛け、ゼェゼェと肩で息をする5人。
戦士とは思えぬへたりっぷりだ。年も年だし。
「けど人気があるということはありがたいことだよね。
こんなに長年みんなで頑張ってるのに、誰からも追われなかったから逆につらいよ。」
北山がそう言うと、味方全員に効く回復魔法が発動され、5人の体力はMAXまで戻った。
「あ。癒された。」
ぼそっと呟く俺。
「そう?そりゃよかった。」
北山が真顔で返事した。
3人掛けのシートをガッタンと回し、5人と伊藤で向かい合って座る。
まるでオバサン軍団の旅のようだ。
今にも飴玉とかミカンとか配られそうな雰囲気を醸し出しながら、列車はゆっくりと走り出した。