洗面所を出て、テレビの横にある鏡台の引き出しを、試しに開けてみた。
『せいしょ を みつけた!
アイテムBOXに いれますか?
はい いいえ』
聖書はホテルの備品だから、勝手に持って帰ったらイカンだろうが。
指のポインタが『いいえ』を選択した。
「いちいち面倒だな・・・」
俺は振り返って、ベッドサイドの時計を見る。
あと10分でロビー集合の時間だ。
「そろそろ着替えないとな。」
指のポインタが『そうび』に動く。
俺の現在の装備は『バスローブ』と『スリッパ』だった。
「ダサっ!そんなヒーロー見たことないわ!」
ベッドに腰掛け、スリッパとバスローブを脱ぐと、装備はすべて空白になった。
ジーンズとシャツ、その上から皮のジャケットを羽織ると『かわのよろい』が装備された。
「いやいや、鎧じゃないし。」
自分の脳に冷静にツッコミを入れる。
『ぼうぎょりょく △3』
へぇ、このジャケット、防御力“+3”なんだ。
ちなみにバスローブは防御力“+1”だったようだ。
皮製の靴を履くと、それの防御力が“+2”、素早さが“+1”であることがわかった。
さっき脱いだスリッパは、防御力“+1”、素早さ“−1”だった。
まぁ確かにスリッパより素足の方が早く歩けるしな、当然の数値と言えるだろう。
「さってっと。そろそろ出るかな。」
部屋を見渡し忘れ物がないか確認してドアを開けた。