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しばし沈黙。

うとうとする客。
バックミラー越しにチラチラ客の顔を見る運転手。

運「あの〜・・・」
客「・・・あ?」

客、眠りを妨げられ不機嫌に返事。

運「お客さん・・・テレビ出てる人です、よね?」

嬉しそうに、緊張しながら問い掛ける運転手。

客「(俯いて)・・・人違いじゃないですか?」
運「いやいやいや!ちょ〜っと待ってくださいよ〜?見たことある!
お客さん、見たことありますよぉ〜!歌ぁ歌ってる人ですよね!」

運転手、俄然テンション上がる。
客、鬱陶しそうに窓の外を見、無視。

運「え〜っと・・・えっと、たしかね〜・・・ウチの娘がねぇ、ファンなんだよね・・・えっと〜・・・」

客、再び眠りにつく。
運転手、必死に思い出そうとしている。

運「あぁっ!わかったぁ!わかりましたよぅ!」

客、運転手の大声で飛び起きる。

運「お客さん、あれでしょ!?アカペラさんでしょ?!」
客「はぁっ?!」
運「そうだそうだ!アカペラさんだ、アナタ!いやぁ、感激ですよぉ!
アカペラさん乗せるなんてぇ!娘に言ったら大喜びですよぉ!
いやぁ、まいったなぁ、こりゃあ!あっはっは!」

客、窓の外を見たまま、無視。
運転手、ひとりハイテンション。


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