マ「安岡くん。・・・め。」
マスター、幼い子供を叱りつけるように嗜める。
ウ「だってマスター!あれ、怒鳴り散らされるより精神的にキますよぉ〜!へこみますよぉ〜!」
ウェイター、カウンターに突っ伏して泣く。
客、コント中に真顔でカレーを本気食い。
マ「お客さまは神様ですよ。そんなこと言っちゃいけません。」
ウ「ひっく・・・ひっく・・・」
ウェイター、子供のように手のひらの腹の辺りで涙を拭う。
マスター、カレーライスをウェイターの横に置く。
マ「そろそろ休憩時間でしょ?カレーもう1人前作っておいたから、ほら、泣いてないで食べなさい。」
ウェイター、もう一度涙を拭った後、先が紙ナプキンで包まれているスプーンを持つ。
ウェイター、そ〜っと紙ナプキンを外す。
ウ「先割れスプーンかよ!」
マ「スープスパゲティの時、これ1本で食べれるかなと思ったんだけど、めちゃくちゃ食べづらかったんだよね。」
ウ「当たり前じゃないっすか!あなた、頭いいのになんで買う前に気づかなかったんすか!」
マ「というわけで先割れスプーンは客に出せないから、君のランチ用に使うからね。」
ウ「ちなみに何本買ったの?」
マ「60本。」
ウ「おーまいがーっ!おー、じーざすっ!この店の定員20人なのに何やってんですかマスター!
普通のスプーンならいざ知らず、こんな使えないもの60本もあってどうするんですか、もぅっ!」
マ「(いい声で)『商品番号2番、先割れスプーン20本セット。キャンペーン中につき、今ならナント、
さらに40本をお付けします。』・・・ってやってたんでね。」
ウ「通販かよ!しかもめちゃくちゃ在庫一掃セールじゃないっすか!」
客、いきなり椅子から立ち上がる。
客「(アカペラ独唱)♪い〜ま〜も抱き続ける〜胸の〜痛み〜、想い出が〜香〜るこの場所〜から〜、
誰もいない〜向かい〜の席〜、いつまでも〜僕ぅはあなたを〜待ち〜つ〜づけてる〜ぅ〜」
客、店内を歩きながら歌い、『♪想い出が香る』の部分でウェイターのカレーを持ち上げ、匂いを嗅ぐ。
『♪いつまでも(略)待ち続けてる』の部分で、自分の席に戻り、腰を掛ける。
ウ「想い出じゃなくてカレーが香る店になってるじゃん!」