沈黙。
客「(アカペラ独唱)♪最後の記憶〜が〜、涙〜が〜責め〜るのさ〜、
お〜、愛し〜てい〜ると〜、口に〜出せ〜ない〜、お〜ろかな〜この僕を〜」
客の熱唱中にカレーを盛り付けるマスター。
客が歌い終わると同時のタイミングで、ウェイターがカレーを席に運び、テーブルに置く。
ウ「カレーライス、お待たせいたしましたぁ〜。」
ウェイター、先が紙ナプキンで包まれているスプーンをカレー皿の横に置く。
客「うわぁ〜い!カレーだぁ!」
客、うれしそうな表情でスプーンの柄を片手で握り、手を小さく上下に振る。
ウ「うわっ、キャラ変わっちゃった!あんた子供かっ!」
客、ウキウキしながらスプーンの紙ナプキンを外す。
が、それはスプーンではなくフォーク。
客、戸惑いながらフォークをカレーとごはんの境目に突き刺し、スパゲティを巻き取るような動作。
ウ「いやいやいや!」
ウェイター、困った表情。
マ「安岡くん。はい、これ。」
マスター、先が紙ナプキンで包まれているスプーンをウェイターに渡す。
ウェイター、客に走り寄る。
ウ「お客さま!申し訳ございません!」
ウェイター、頭を深々と下げ、客にスプーンを手渡す。
客、戸惑いの表情を浮かべたままスプーンを受け取る。
客、ゆっくりと紙ナプキンを外す。
今度はスプーン。
客、ゆっくりとそのスプーンをカレーとごはんの境目に沈める。
もう一方の手で再びフォークを持ち、スプーンの上で巻き取る動作。
ウェイター、再び客の元へ駆け寄る。
ウ「さっき謝ったでしょ!アンタねぇ、文句あるんだったら面と向かって言ってくださいよ!」
ウェイター、客の手からフォークを引ったくってマスターの元へ。