《買い物》
とりあえず赤ちゃんの世話に必要なものを北山がネットで検索し、それを言い出しっぺである村上がひとりで買い出しに行くことになった。
「えぇ!?俺かよ!俺目立つからヤなんだよ!」
「はいはい、つべこべ言ってないで早く行く!」
「・・・覚えてろよ!」
「アンタは昔の映画のチンピラか!早く行きなさいよ!」
村上はサングラスをせずキャップを目深に被り、赤ちゃん専門店に向かった。
「なんだよ〜、どこに置いてあんだよ〜」
メモを片手に店内をキョロキョロと見回していると、若い女性店員が近づいてきた。
「お客様、何かお探しですか?」
「すいません、人に頼まれて来たんですけど、どこに何があるか全くわかんなくて・・・」
メモを渡すと、店員は順に案内してくれ、商品の説明もしてくれた。
それを参考にしながら選び、カートに乗せていく。
「服も買っといた方がいいかなぁ〜?」
「何ヶ月ですか?」
「えっと〜・・・これっくらいのオンナの子・・・」
手を広げて示すと、店員は「おべんとうの歌みたいですね」と笑った。
そんな彼女を見て村上は可愛いと思ってしまった。
衣料品コーナーで、店員のアドバイスどおりにサイズを選び、カートにベビーウェアを5着乗せてレジへ向かった。
会計を済ませ店員の元を去ろうとした時、店員がコッソリ声をかけてきた。
「村上さん、ファンです。頑張ってくださいねっ♪」
「は・・・はぁ・・・」
バレていたショックで顔が引きつってしまい、うまくリアクションがとれない村上であった。