「・・・けどどうするの?いろはちゃん・・・放置するわけにはいかないよねぇ?警察に通報する?」
いつの間にか抱っこ担当になっている黒沢が困ったように言う。
「いや、警察には言わない方が・・・(俺の子だったら困るし・・・)」
「警察に通報したらマスコミに取り上げられるよ。
自分たちの子供じゃなかったとしても、マスコミは面白がって『メンバーの子供じゃないか』って報道するよ?
(彼女に疑われたら厄介だしな・・・)」
「んじゃあ・・・とりあえずしばらく俺たちで面倒見てみるか。」
「えぇ!?」
村上の提案に4人は硬直した。
「んぎゃあ!おぎゃあぁ!」
「とりあえず今日の夜は一番年上の黒沢から・・・」
「ま、待てよっ!リーダーであるお前がまず面倒見ろよ〜!」
「リーダーである俺の言葉は絶対なの!」
「え〜!?マジで?!」
「で、明日の夜は俺。明後日は酒井、で北山、安岡の順な。昼間はみんなで面倒見る。
風呂もその時にみんなで入れる。わかったな?(明日親が名乗り出てくれたら、俺は面倒見なくて済むし〜♪)」
「はぁ・・・。」
「あ、そろそろ温度見てみたら?腕の辺りに落として人肌ならOKだから。」
北山が安岡に指示を出した。
「はぁ〜い。」
安岡が手首にミルクをポタっと落とし、温度を確認する。
「人肌で〜す。飲ませま〜す。」
黒沢の胸で泣き続けていたいろはに哺乳瓶を近づけると、パカッと口を開け乳首をくわえた。
ちゅぱちゅぱとミルクを飲んでいる。
「かわいい!」
「エロいな・・・」
「どこが?!」
「おなかちゅいてたの〜。よちよち。かわいいでちゅね〜。」
「酒井・・・赤ちゃん言葉キモいぞ・・・」
いろははごくごくミルクを飲んで、あっという間に哺乳瓶は空になった。
「黒ポン、飲ました後は背中トントンしてゲップさせてね。ミルク吐くから肩にタオル乗せて。」
北山がノートパソコンのディスプレイを見て、読み上げる。
村上が黒沢の肩にタオルを乗せた。
黒沢はその上にいろはの顎が乗るような感じで抱え直し、いろはの背中を叩いてやる。
「げほ。」
「お〜!ゲップ出た〜!」
4人はいろはを囲んで拍手喝采。
「キャッキャッ」
こうして、5人と赤ちゃんの生活が始まった。