「それはそうと、ホントに捨て子かな?」
「・・・ちょっと待ってろ。」
村上が籐の籠を探っている。
「あ。手紙。」
村上は封を開け、手紙を声に出して読み始めた。
「『あなたの娘です。名前は“いろは”です。可愛がってあげてください。』」
「てっきり“捨吉”って名前かと・・・」
「女の子に“捨吉”はねぇだろ!」
「男でもその名前はないなぁ〜。」
「“いろは”ってまさか・・・酒井の子供じゃ・・・」
その時、バーンと勢いよくドアが開いた。
「すいません!遅くなりましたっ!」
頭を下げる酒井。
「いろはちゃん、パパ来たよ〜。」
「は?へ?パパ来たぁ?何事ですか、いったい・・・」
「おぎゃあっ!おぎゃぁっ!」
「は?へ?」
「お前の子だろ?」
「はは・・・んなアホな・・・。」
「雄二、身に覚えない?」
「ないない!あるわけないだろうがっ!(たぶん・・・)
そういうアンタたちはどうなのよ?!」
「ねぇよ!(・・・中出ししてねぇしな?)」
「ないよ!(おそらく・・・)」
「そういうことはちゃんとしてるから大丈夫。(・・・なはず・・・)」
「ありえないって!(ないよな・・・?)」
「なんだ、みんなそういうヤマしいことはないわけだ、な?」
酒井の問い掛けに、4人は微妙な表情を浮かべている。
「んぎゃっ、んぎゃぁぁ!」
「あ、そろそろ粉ミルク入れていいんじゃない?」
北山が腕時計を見て言った。
「あ、はいはい〜。」
安岡が湯の入った哺乳瓶の中にミルクを投入し、バーテンダーのように瓶を振った。