「ミルクあるの?」
安岡がふたりに尋ねる。
「赤ん坊と一緒に置かれてたのはある。」
「じゃ作らなきゃ!」
安岡が村上から粉ミルクを受け取り、作り方を読んだ。
「何この中途半端な温度・・・どうやって測んのよ・・・」
「安岡、とりあえず湯沸かしてこいっ!」
「わかった!」
安岡は哺乳瓶を持ち、部屋のドアを開けた。
ちょうどその時、反対側からドアを開けようとしていた人物が。
「おわっ、ビックリしたぁ!」
「わっ!お、おはよう・・・って、え?誘拐?」
北山は部屋での見慣れぬ光景にドアノブに手をかけたまま固まっている。
「アホか。」
「ここに放置されてたって、村上が。」
「それさぁ・・・捨て子じゃないの?」
「捨て子ぉ〜〜!!」
「おんぎゃ〜!」
「大声出すなっ!安岡、早く湯っ!」
「はいはいっ!」
安岡は走って部屋を出て行った。
「なぁ、ミルクの温度ってどうやって測ればいいと思う?熱すぎてもダメなんだよね?」
黒沢が北山に尋ねた。
「なんで俺に聞くの?!」
「いや、なんとなく。何でも知ってそうだからさ〜。」
「専門外のことはわかりませんよっ!・・・仕方ない、調べてみましょうか。」
北山がカバンからノートパソコンを取り出し、検索を始めた。
「ハイテクだなぁ。」
「いやいや、それほどでも・・・。」
「んぎゃっ、ぎゃぁぁ〜」
「一旦沸騰させて50度のお湯によく溶かす・・・で、人肌に冷ます、か。」
「どうやって人肌か確認するんだよ?実際に飲んでみろってことか?」
「ん〜、手は鈍感だから手首とか腕で確かめるみたい。」
「飲まなくてもいいのか・・・」
「黒ポン、飲みたかったの?」
「若干ね。」
「幼児プレイかよ。」
ドンドン。
部屋のドアがノックされる。
北山がドアを開けると、安岡が哺乳瓶とやかんを持って立っていた。
「はい。沸かしてきたよ。」
「でかした!それを50度まで冷ますわけだな?」
「せっかく沸かしたのに冷ますの?ペットボトルの水で割ったら?おなかすいてるのにすぐ飲めないなんてかわいそうじゃん。」
「いやいや、とりあえずちゃんと作ってみようよ。」
「おんぎゃぁ〜っ!」
「50度だから〜・・・哺乳瓶に移してだいたい○分でそれぐらいの温度になるんじゃない?」
「さすが北山!」
「なんでそんなのわかるの?」
「なんとなく。」
「ふ〜ん・・・」