《3日目夜 担当酒井》
黒沢さんは眠そうだったし、リーダーは片頬パンパンに腫らしてるし、いったいどうなってるんだ?
「あ〜ぅ」
「はいはい、いらっしゃいませいらっしゃいませ。」
俺はいろはを抱っこし、家に入った。
メンバーからは「いろはの面倒を見るまでの間に部屋を掃除しろ!」と言われて、一昨日・昨日は大お掃除大会だった。
だから現段階で体力は30パーぐらいしか残っていない。
いろはの面倒を見れるのか?俺は。
ひとまず冷凍の鍋焼きうどんを火にかけながら、リビングで抱っこ。
俺の髪が気になるのか、いろはが髪を握って引っ張ってくる!
赤ん坊なのにパワーありすぎだぞオイ!
籐の籠に寝かせて俺は食事。
鍋焼きうどん、いろはが火傷しちゃいかんから、いろはの近くでは食べられない。
そんなこんなでキッチンで立ち食いした。
なんで家で立ち食いうどんなんぢゃい。
これがベーグルサンドならアメリカのビジネスマンっぽかったかもしれない。
食事を終え、いろはにミルクをやり、ゲーム機のスイッチを入れて、ふと考えた。
今俺がハマってるゲームは、『このゲームには暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています』なのである。
それをいろはの前でやるのは教育上いかがなものか。
いや、今赤ん坊だし見ても意味わからんだろうとは思うが、いつかその記憶が蘇り“暴力シーンやグロテスクな表現が含まれる人生”を送らないとも言い切れない。
いろはの将来がとんでもないことになってしまったら、俺は一生自責の念にかられることになってしまう。
「・・・子供に害のないゲーム・・・」
俺は大昔ファンにもらって封も開けていなかった『どこでもいっしょ』を押し入れから取り出した。
「これなら大丈夫だろう。」
ゲームスタート。
「あ、ほら見てみ、トロだよトロ!」
「キャッキャッ」
お〜、いろはも喜んでる喜んでる!
それにこれ結構おもしろいな。
「おっ、見ろ!今、いろはって言った!」
といろはの方を見たら・・・寝てた。
「寝ちゃったかぁ〜。見せてやりたかったなぁ〜。」
どこいつ中、いろはは何度か起き、そのたびにちゃんと世話をしてやった。
気づいたら、東の空が白み渡っていた。
「やば・・・一睡もしてない・・・」