4.das Abendessen(ダス・アーベントエセン)
「なぐさめてくれてるのか?・・・ありがとうな」
無理に作った笑顔に耐えられなくなった俺は、酒井の腕から抜け出し、キッチンに向かった。
テーブルの脚の下から、上を見上げる。
猫目線で見ると、テーブルはとても高いところにあるように感じた。
テーブルの上に上がりたい。
けれど飛び乗れるだろうか。
恐怖と緊張で胸の鼓動が早くなる。
“俺は猫だ”と自分に言い聞かせ、テーブルの上を目指し、踏み切ってジャンプした。
ふわりとカラダが浮かび、カシャッという爪の音を響かせてテーブルの上に見事着地した。
猫ってすごい。
まだ軽く心臓がドキドキしている。
俺はテーブルの上のボンカレーに歩み寄り、その紙箱を手でパシパシと叩いた。
“酒井〜、メシにしようぜ〜”
「にゃ〜ん、にゃにゃん」
「何?それ食べたいの?お前変わった猫だなぁ〜」
酒井はテーブルに近づき、ボンカレーを手に取った。
「じゃあ一緒に食うか」
“おぅ!”
「にゃん!」