ライブ後、俺たちは楽屋にももちゃんを招待した。
もちろんパパ・ママも一緒に、だ。
「大きくなったねぇ、ももちゃん!」
みんなで ももちゃんを囲んで握手したり頭を撫でたり。
少し見ない間に大きく、そしてさらにかわいくなっていた。
ますます店を持たせたくなる、なんて思ったとか、ご両親の前では口が裂けても言えない。
「お友達いっぱいできたか?」
村上が尋ねると、ももちゃんは満面の笑みで「うんっ!」と頷いた。
「ねぇねぇ!しゃしん、みてみて!」
「ん?」
肩から提げたイチゴ型のポシェットから取り出した写真には、ももちゃんとそのお友達が映っていた。
顔を近づけてよ〜く見ると、ももちゃんが黒い猫を胸に抱いている。
「お!?」
「これねぇ、もものおともだちのなっちゃんのかってるねこなんだよ〜。なまえはねぇ〜・・・くろぽん!」
「ぶっ・・・!」
思わず噴いてしまった!
なんでよりによって『くろぽん』なんだよぉ?!
「なっちゃんのままがねぇ、なまえつけたんだって〜。なっちゃんのままねぇ、おにいさんたちのふぁんなんだよ〜。」
「へ・・・へぇ〜・・・なっちゃんのママは俺のファンなワケね・・・」
「う〜うん。」
「へ・・・?」
「このおにいさんの!」
ももちゃんが指差したのは、酒井だった。
「何だよぉ〜!俺じゃなかったのか!くやしい〜!」
4人に「まぁ〜まぁ〜まぁ〜」となだめられるが、やっぱりちょっとくやしい。
「おともだちもねぇ、いっぱいできたし、くろぽんともなかよくなったの!」
「たくさん友達できてよかったね。」
北山がそう言うと、ももちゃんは「うん!」と元気に返事した。
友達ができて嬉しいっていう感じが表情からも滲み出ている。
「ぐふふっ!猫に名前つけられてやんの・・・はっ、ハラ痛ぇ・・・がははっ・・・!」
「ちょっ、うるさいなぁ、村上!」
横で噴き出している村上がなんとも憎たらしい。