しんみりとしたところで、村上は「じゃ、酒井。黒沢を風呂に入れてやれ。」と言った。
「なっ?!アンタ、今いいコト言ったとこだったのに!結局俺ですか!」
「今回、黒沢を大変な目に遭わせた罰ゲームだ。」
「ナンダカンダ言って、アンタそれ一生言い続けそうだな・・・」
酒井が愚痴ると、村上はニシシと言って笑った。
「わかりましたよ!行きましょう、黒ポン!」
“すまんなぁ、酒井・・・”
「にゃみゃぁん」
「いえいえ、お気になさらず。」
酒井は俺の言ったことを理解したワケではなかったが、偶然にも返事は噛み合っていた。
「昨日は・・・ホントすいません・・・」
酒井は俺のカラダを洗いながら、頭を下げ謝った。
“いいよ。元はと言えば、俺が猫になったことが元凶だから。”
「にゃ、にゃんにゃにゃぁ〜みゃんにゃ」
片手を左右に振り、酒井のせいではないと伝える。
酒井はもう一度すいませんと謝った後、言葉を続けた。
「けどね、思ったんです。やっぱり4人だけじゃ・・・くろ君が入って5人じゃ・・・ゴスペラーズじゃないな、って。
リーダーがいて、黒ポンがいて、北山がいて、安岡がいて・・・俺がいて、ゴスペラーズなんだ、って。
だからね、早く元の姿に戻ってほしいんです。」
“俺も早く戻りたいよ。やっぱ人間がいい。ゴスペラーズの黒沢薫がいいよ。”
「にゃぁおぅ、にゃにゃん、にゃみゃぁにゃぁんにゃ」
「そうですね、どうやったら戻るか、あとでみんなで考えましょう。3人寄れば・・・いや、5人寄れば文殊の知恵、ですよ。」