事務所に着いて早々、ずぶ濡れの4人とくろは着替え始めた。
俺が路地で倒れた時に来ていた服は、ちゃんとクリーニング済みだった。
メンバーがくろを囲み、豹柄からそれに着替えさせているのだが・・・これまた妙に恥ずかしい。
メンバーの慣れた様子も、なんかヤダな・・・。
くろが、「おなか〜」とか言いながら、自分の(いや、外見は俺の)腹をペチペチ叩いたりして、またも赤面してしまった。
毛が生えてるから顔が赤いかどうか、わかんないけど。
そんなこんなしてる間に、寿司が届き、それをみんなでたらふく食べた。
このところロクな食事にありつけなかったから、すっげぇうれしい・・・涙出そうだ。
それに、みんなで食うメシはうまい。
改めて実感した。
食後、片付けなどを終え、昨日こいつらが泊まったとかいうホテルに向かった。
俺は結局、事務所から持ってきた空のバッグに入れられるハメになってしまった・・・
バッグに入るの、あんなに拒んでたのに、安岡や北山にまで「つべこべ言わない!」って頭押さえつけられた。
む〜、イジメだ、くそ〜・・・
バッグの中でフロントと廊下をやり過ごし、部屋に入ってやっとバッグから解放された。
「大浴場、行くか。黒沢は後で部屋風呂入れてやっから。・・・じゃ、お前ら行くぞ。ほら、くろも来い。」
え?
大浴場?何で??
・・・・・・・・・ああああぁぁぁっ!
くろ、ひとりで風呂入れないのか!
あいつらが俺のカラ・・・・・・
恥ずかしさのあまり、脳に血液が一気に集まったみたいな感覚になって、そのまま倒れてしまった。
「あれ?黒ポン何やってんの?」
北山の冷静な問いかけに、俺は意識を取り戻し、飛び起きた。
“何、じゃないよ!恥ずかしいだろ〜よっ!”
「みゃあにゃん、にゃぁにゃ〜ん」
「あ、これねぇ、照れてますよ。一昨日も猫の黒ポンを風呂入れるの、一苦労だったんだから!変に意識しちゃってねぇ、この人・・・」
酒井に茶化すように言われ、反論していると、安岡にポンポンと背中を叩かれる。
「あのねぇ・・・恥ずかしいのは黒ポンだけじゃないんだから!風呂で周りの人からどんな目で見られてると思ってるワケ〜?」
そう言われて想像する。
多くの人に見られながら、4人がくろを寄ってたかって風呂に入れてるサマを・・・
恥ずかしい目に遭ってるのは、俺だけじゃないみたいだ。
“ご、ごめん・・・”
「にゃぁん」
頭を下げると、4人は「いいよいいよ」「冗談冗談!」と言いながら笑った。
「“楽しいことも大変なことも、メンバー全員で分け合う”、だろ?黒沢。」
“そう、だな。”
「にゃ〜ん」