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いつの間にか気を失うように眠ってしまっていた。

空は真っ暗。
雨音はさらに激しくなり、それに比例するように川の流れる音も大きくなっていた。

ずるっ・・・

箱が、わずかに動いている。

“な、何だ・・・?”
「にゃ・・・」

箱が動くたび、ゴウゴウという川の音がだんだん大きくなっている。
どうやら土手から河原に向かって流れた水が川に向かって流れ込み、この箱を川へと押し進めている、ようだ・・・

“嘘だろ・・・?”
「にゃあ・・・っ」

俺は死に物狂いで、流される向きとは真逆の方の壁に向かって突進した。

“開けよ!破れてくれ!”
「みゃっ、みゃぁ」

それでも箱はクニャリと曲がるだけで、破れる気配はない。

“死にたくないっ!”
「にゃあぁぁ」

 

『・・・黒ポ〜ン・・・』

どこからともなく、遠くから酒井の声・・・

『・・・黒ポ〜ン・・・どこ〜・・・』
『・・・黒沢ぁっ・・・』
『・・・黒ポ〜ン・・・いたら返事して・・・』

あ、安岡も、村上も、北山も、いる・・・

“ここだっ!・・・俺はここだぁっ!!”
「にゃ!にゃあ〜ぉぅ!」

声の限り、何度も叫ぶ。

その間も、箱はじわりじわりと動き続けている。

『あ!おにいさんあのなかにいるみたい!』

くろ?!

『ホントか?!』
『黒ポン!』

声は次第に大きくなる。
バシャバシャという足音も近づいてくる。

“早くっ!助けてっ!”
「にゃにゃぁ」

ずずずずずっ・・・

箱が大きく動く。

流される!!

俺は強く目を瞑った。


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