安岡がももちゃんを抱っこし、皆で車に戻る。
ドアを開けると、くろ君が毛布をかぶって眠っていた。
「・・・ふぁぁ・・・おにいさんたちおかえりなさぁい。」
「くろ君、おつかれ。えらいな。よくやったぞ。」
「へへっ、ありがとぉ〜。」
くろ君は褒められてとてもうれしそうだ。
「で、ももちゃん、お話聞かせてくれる?」
リーダーがももちゃんの髪を乾いたタオルで拭いてやりながら話を進めていく。
「ん〜とぉ、こんびにやさんのまえでくろにゃんがいたからいっしょにおうちかえってごはんあげたの。
ごはんと〜、おいものさらだと〜、おさかな!」
「おさかなおいしいよねぇ〜。」
「くろ君、君はこれでも食べてて。」
話の腰をポッキリ折ったくろ君に、魚肉ソーセージを剥いて渡した。
「わぁい、そーせーじだぁ!いただきまぁす!」
「・・・ももちゃん、それで?」
「それでぇ、よるね、ぱぱとままがおしごとからかえってきたらね、くろにゃんかっちゃだめって、おこられたの。
もも、とおくへいったらひとりぼっちになっちゃうからねぇ、くろにゃんといっしょにとおくいきたかったの。」
「引っ越しのことかなぁ?」
「どうやらそうみたいだね。」
「それでぇ、ぱぱがね、くろにゃんをはこにいれて、かわにぽいしちゃったの。」
「え・・・川・・・?!」
「川に投げ捨てたってことか?!」
「ううん、そうじゃなくてねぇ、かわのねぇ、みちだよ。」
「『川の道』・・・土手か河川敷かだろうな。」
「ほっ・・・ビックリしたぁ〜!黒ポン流されちゃったかと思った!」
「酒井。」
「はい。」
「カーナビでこの近くの川を調べろ。」
カーナビを縮小表示にして周辺を調べる。
すると、ここから少し走ったところに、大きな川が流れていることがわかった。
「河川敷、土手があるほどの大きな川って言ったら、これだな。河川敷へ車で降りれる道もある。」
「早く行こうよ、てつ。」
「わかった。その前に、ももちゃんを送っていくぞ。」
ももちゃんの家の近くにあるものを聞いて、カーナビと照らし合わせると、ももちゃんの家の場所がおおよそわかってきた。
早速、ももちゃんの家へ車を走らせた。