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なんとかくろ君が落ち着きを見せ始めた頃、北山が口を開いた。

「あのさ、ひとつの意見として聞いてほしいんだけど・・・」
「何だよ、北山。」
「黒猫をひとつの場所に集めてみる、っていうのは、どうかな。」
「ど、どうやって・・・」

北山の突拍子のない意見に、安岡が戸惑いを浮かべつつ聞き返す。

「例えば・・・」

間を置いた北山の次の言葉を待つように、俺たち3人は身を乗り出す。

「黒猫を連れた人限定で見れるライブを開く、とか、」
「それだ・・・」

北山が言い切らないうちに村上が割って入る。

「それだ北山。黒猫飼ってない人間でもさ、ライブのために街中で黒猫探し出して連れてくるかもしれないしな。」
「なるほど・・・」
「そうだね。」

俺も安岡も納得。

「とりあえず、黒沢とくろが入れ替わったということは俺たち4人だけの秘密にしとこう。
どこでどう秘密が漏れて、噂が広まっていくか わかんないからな。
噂が広まることで俺たちの計画、うまくいくもんもいかなくなる可能性だってある。わかったな?」
「そうだね。」「わかった。」「了解。」
「そうと決まれば・・・北山!黒沢がいなくなった近くでライブできそうなとこネットで探し出してくれ。
公民館でも体育館でもグラウンドでも、何だっていい。」
「了解。」

北山は早速ノートパソコンを開き、検索を開始した。

「安岡は、くろのメシ!あと、俺らの分もあると助かる。長丁場になるかもしれないからな、頼む。」
「わかった!今から買ってくる!」

安岡もポケットから車のキーを取り出し、出て行った。

「俺は機材とかの手配とかするから。」
リーダーも携帯を取り出して履歴を探り始めた。

「リーダー!あ、あのっ、俺は・・・」
「お前はくろの世話があるだろうが!俺らの中で一番猫に詳しいんだから、その辺でジャラしとけ・・・あ〜、もしもし?」

ジャラしとけ、って・・・

元はと言えば俺のミスが発端なのに、俺は何も手伝えていない。
なんだか途轍もなくもどかしい。

「北山、あのさ俺も何か・・・」

北山の仕事を手伝おうと声をかけたが・・・

「雄二、くろの相手してあげてよ。てっちゃんは雄二に罰ゲームとして『くろの世話をしろ』って言ってるんじゃないと思うよ。
くろだってママさんに会いたいの我慢してるんだし、誰かがちゃんと見とかないと今度はくろがどっか行ってしまうかもしれないよ?
それにくろの服・・・正確に言うと黒ポンの服だけどさ、ドロドロになってるじゃん。黒ポンのためにも、そういうの、ちゃんとしてあげて。」


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