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13.der Plan(デア・プラーン)

 

≪酒井視点≫

何とかくろ君を宥め賺せ、コンビニの店員に怪しまれないように取り繕って、外に出た。

・・・そこにいたはずの黒ポンの姿が忽然と消えていた。

「・・・な、なんで?!」
「ん?どうしたの、おにいさん。」
「どうしたもこうしたもないよ!黒ポン、いなくなっちゃったんだよ!」
「・・・あ〜、ほんとだぁ〜。」
「あ〜もう!お前と一緒にいたら疲れるわ!」
「・・・・・・びぇ〜〜、おにいさんこわいよぉ〜、びぇ〜ん」
「もう泣いててもいい!とにかくついて来い!」
「びぇ〜っ・・・だってままさんとまだ・・・」
「ママさんは後!後で絶対会わせてやるから我慢しろ!」
「・・・びぇ〜ん、おなかもぐぅぐぅ・・・」
「これでも食っとけ!」

俺は魚肉ソーセージの封を開けてくろ君に手渡し、くろ君の空いた方の手首を掴んで、俺は走り出した。

「黒ポ〜ン!・・・黒ポ〜ン!」

呼べども呼べども、猫の鳴き声は聞こえてこない。
くろ君は暢気に魚肉ソーセージを満面の笑みで頬張りながら、俺に手を引かれている。

「・・・くっそ、困ったな・・・」

メンバーに連絡を取るか。

リーダーの携帯に電話をかけると、すぐに繋がった。
俺は、くろ君を捕まえてからここまでの経緯を説明した。

『馬鹿野郎!何やってんだよお前!黒沢の身に何かあったらどうすんだよ!』
「すいませんっ!」

怒られて当たり前だ。
こんなこと想定してなかった。

くろ君は問題行動があったから目を離せなかった。
けど黒ポンなら少しの時間待ってもらっても大丈夫だろう。・・・って思い込んでいた。

だけど実際は、今の黒ポンは子猫になっている状態。
大人の人間では避けられる危険が、避けれなくなってるのだった。
それなのに俺は・・・

『・・・ひとまず、くろ連れて事務所に戻って来い。4人で話そう。』
「・・・はい・・・」

電話を切って、くろ君を引っ張って自転車のところへ戻った。

「くろ君、後ろに乗って。」
「え?どうやってのるの?」

俺はサドルの後ろの荷台に跨り、くろ君に手本を見せた。

「んと。やってみる。」

くろ君は半分ぐらいの長さになった魚肉ソーセージを握ったまま、よたよたとぎこちなく後部座席に座った。
俺もサドルより少し前を跨いでからサドルに腰を掛ける。

「よし、くろ君。俺のお腹、しっかり持ってなさい。」
「そーせーじ・・・」
「持ったままでいいから。少し我慢しなさい。・・・じゃ行くぞ。」

警官に見つからないように願いながら、俺はペダルを力一杯踏み込んだ。


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