10.Labyrinth(ラビュリント)
「さてと・・・ママさんが入院した病院探さなないと・・・そうだ、店だ・・・まずカレー屋を探さなきゃ。場所わかります?」
突然の質問に固まる俺。
「・・・アンタをアテにした俺が馬鹿だった・・・
とりあえず昨日の夜、黒ポンを拾った・・・いや失礼・・・遭遇した場所から推測してみますか?」
“そうだな!”
「みゃぉぅ」
俺は片手を挙げ、意思表示をする。
「駐禁切られたら堪らんので、自転車で行きますよ。じゃ、レッツゴ〜!」
酒井は再び自転車の前籠に俺を乗せ、走り出した。
「たしかこの辺りでしたよね?」
酒井が自転車を道端に止めた。
“あの辺に出てきたよ。”
「にゃぉんにゃっにゃん」
俺は昨日女の子に撫でてもらった地点を手で指し示した。
「あっち、ですか?」
酒井は俺のナビどおりにそっちへ向かっていった。
“この路地から出てきたはず。”
「にゃにゃぉにゃんにゃ」
路地を手で指す。
「こ、ここですかぃ・・・」
酒井はきょろきょろと周りを見渡して、路地に入っていく。
「うっわ狭っ!」
酒井の声が路地に響く。
俺を抱えたままカニ歩きで先に進んで行く。
そっか。俺、昨日路地入ったのは違うとこからだったし、脱出した時はすでに猫になってたから狭く感じなかったのか。
「まるで忍者だな。」
ホントだ。
ケムマキと影千代みたいだ。