ドアを開けると、すでに3人揃って俺達のことを待っていた。
「遅くなりましたっ!ちょっとバタバタしてまして・・・」
酒井が3人に頭を下げた。
「おはよ〜。何なの?急に呼び出しって。黒ポンに何かあったの?」
安岡の口から、いきなり核心に迫るひとことが出た。
「そう!実は・・・」と酒井が言おうとした時、北山が俺の存在に気づいた。
「雄二、どうしたの?その猫。拾ったの?かわいいね。」
「うわぁっ、ホントだ!何、この猫っ!かっわいい〜!!」
安岡が顔を近づけてきた。
近いっ!近いっちゅうの!オイオイっ、鼻触れ合ってますよ!?
「や、安岡っ!ちょっと待て!そんなことするな!実はこの猫・・・」
酒井が必死に説明しようとしていたが、そんなことは誰も聞いちゃいない。
不意に北山に抱え上げられる。
“うをっ?!”
「にゃっ」
「かわいいね〜。」
北山が俺の顔を見た後、少し視線を下げた。
「オスかぁ。」
「北山っ、それ言っちゃ・・・!」って酒井が言うよりも、俺の手が動く方が一瞬早かった。
“バカっ!どこ見てんだよ!”
「みぎゃぁ〜ぉぅ!」
俺は北山の鼻にパンチを入れていた。
「・・・俺のこと・・・嫌いなのか・・・?」
鼻に小さな引っ掻き傷を作った北山は床にがっくりと崩れ落ちた。
そんなにショックなのかよ!
「職場に動物連れて来んじゃねぇよ。」
村上が俺の首の後ろを指で摘んで持ち上げた。
そんな持ち方すんな!首から下、プランプランじゃないかっ!
俺はクロネコヤマトの子猫か!
「ああっ!もうちょっと丁重に扱ってくださいよリーダー!それはタダの猫じゃなくて・・・」
「あ、わかった!タダの猫じゃなくて、酒井の『バター猫』だろ?」
“バカっ!んなわけねぇだろっ!”
「にゃ!にゃにゃんにゃ!」
俺は村上の腕に噛み付いて、ひるんだ瞬間に逃げ出した。