9.die Versammlung(ディ・フェアザンムルング)
「むぁっ!?」
酒井の雄叫びと同時に俺は飛び起きた。
「変な夢見たぁ〜!猫のくろ君と入れ替わったって!」
“俺も見た!”
「みにゃっ!」
激しく頷く俺。
「え・・・もしや・・・同じ夢見たの・・・?」
“おぅ、見た!”
「にゃっにゃっ!」
「とりあえずみんなに報告しなきゃ!」
酒井は村上・北山・安岡に電話し、「今から事務所に来てほしい」と召集をかけた。
全員に連絡がとれたところで、酒井は「すぐ準備します!ちょっと待っててください!」と早口で告げ、洗面所へと駆け込んでいった。
酒井が身仕度を整えている間、俺は仕方な〜く手の甲で顔をこすっただけで身仕度を終えた。
うぉ〜、歯磨きしてぇ!
今、口くさくないかな?
気になるなぁ、もう。
なんて悩んでたら酒井に後ろからひょいっと抱えられた。
俺達は部屋を後にした。
「あ!俺、昨日ひとりで飲んで帰るつもりだったから、車置いてきちゃったんだ・・・」
行きつけの店に向かう最中に俺を見つけたんだそうだ。
「じゃ、タクシーで行きますかね?」
広い通りまで出て、俺を抱いたままタクシーを呼び止めたが、全くつまからない。
完璧に乗車拒否されている。
なんだよ・・・俺ホントは人間なんだぞ?
「・・・仕方ないっすね、電車で行きましょうかね。」
作戦変更して駅に向かったが、今度は「籠に入れてないからダメ」と改札で止められた。
仕方なく一度部屋へ戻るハメになった。
部屋に帰って早々、酒井が押し入れから大きめのスポーツバッグを取り出してきた。
「じゃ、このカバンに入ってもらえます?」
“え〜!やだ!”
「にゃんにゃ!」
激しく顔を横に振る。
「え〜・・・少しは我慢してくださいよ〜・・・」
俺がカバンに入ることを頑なに拒否したため、酒井は腕を組んで「う〜む」と唸って考え込んでしまった。
「・・・あ!名案!」
酒井は手のひらをポ〜ンと打った。
そして俺を再び抱えて、外へと飛び出した。
「じゃ〜ん!これですっ!」
酒井が手で指し示したのは自転車。
“おぉ、ナイス!”
「にゃっにゃっ」
酒井は俺を自転車の前籠に乗せ、再出発した。
“うぉ〜、快適ぃ〜♪”
「にゃ〜ぉにゃにゃ〜」
ちょっぴりET気分だ。
これで空飛べたら言うことナス、リケンの麻婆茄子だ。
ま、そんなパワーは全くないけどね。
“♪おなかが〜空くほ〜ど、ほ〜んきで〜、わ〜らぁって〜、み〜たいね〜”
「にゃにゃにゃぁにゃっにゃ、にゃ〜ぁん、にゃぁぉ、にゃぁん」
歌いながら風を感じていたら、あっという間に事務所に到着した。