“ピンポ〜ン!大正解〜!いやぁ、長かったここまで〜!ありがとう!ありがとう!”
「にゃぉ!にゃあ〜!にゃぁにゃぁぁ!にゃ!にゃ!」
両手で酒井の右手を握り、上下にブンブン振った。
酒井はポカンとした顔でされるがままになっている。
“お〜い!酒井?どうした?”
「にゃぁ!にゃ、にゃぁ」
背伸びして酒井の頬を軽く叩く。
はっ!と我に返った表情を浮かべたかと思うと、酒井はいきなり俺に向かって土下座した。
「こ、これまでの数々のご無礼、何とぞ、何とぞお許しくだされ〜!!」
額が床にくっつくほどに頭を下げられる。
いやいや!
謝るなよ、そんなことで!
全く気にしてなかったことで土下座までして謝られ、こっちまで恐縮してしまう。
ひとまず、気にしていないと伝えないと・・・。
うわごとのように般若心教を唱え、ひれ伏す酒井を説得する。
“気にするなよ〜、さ〜か〜い〜っ”
「にゃにゃぉ〜、にゃにゃにゃ〜ぉ」
・・・ダメだ、当たり前だけど言葉で言っても伝わんない・・・
今度は右手で酒井の肩をトントンと叩き、その手を肩に置く。
恐々と顔を上げ、俺を見る酒井。
“気にしてないって。な?”
「にゃんにゃにゃ、にゃ」
そう言いながら、自分の顔の前で左手を左右に振った。
すると酒井は強張っていた表情をやっと緩めてくれた。
頭を掻きながら「すいませんでした」という酒井に向かって顔を左右に振った。
「動きはほんと人間そのものですね・・・ははっ・・・」
と言いながら酒井は小さく笑う。
「それはそうと、なんで猫になっちゃったんすか?・・・って聞いても答えられないですよね・・・すいません・・・」
何かにつけ謝る酒井。
ごめんな、迷惑かけてるのはこっちの方だっていうのに・・・
「原因はひとまず置いといて、これからどうして行くか考えましょうか」
むむ〜、と唸り、腕組みしている。
「あっ。まずコミュニケーションの取り方を考えましょうか。YESなら頷く、NOなら首を横に振るか手を横に振る。
何か言いたいことがあったら挙手。OKですか?」
こくこく頷く俺。
「あとは簡単なゼスチャーを使っていただければ。」
もう一度こくっと頷いた。