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周りの騒がしさに北山は目を覚ました。

ほこらの扉を開けた辺りから記憶がないということは、その時点で眠ってしまったのか。はたまた気を失ってしまったのか。
今となってはそれすらもよくわからない。

それにしてもここはどこなのだろう。
上半身を起こし、辺りを見渡してみる。
畳を敷き詰めた大広間に、お膳がずらりと並べられていて、着物を身につけたたくさんの人々が飲めや歌えのどんちゃん騒ぎをしている。

ふとすぐ脇を見下ろすと、安岡が目をつむり横たわっている姿が目に飛び込んできた。

「ちょっ、安岡っ!起きて!ねぇ!」

北山は安岡の肩をつかんで揺さぶった。

「・・・んん〜・・・」
「ほらっ!早く起きてよ!!」
「・・・ん?・・・あれ?北山さん?」

ようやく目を覚ました安岡に、北山はホッと安堵のため息をついた。

「あ〜、よかった・・・安岡も無事だったみたいで・・・」
「無事って何・・・ってか、ここ、どこ・・・?」
「さぁ、よくわかんないけど、ほこらの中・・・?」
「なるほど〜、ほこらの中かぁ〜。・・・え、・・・ほ、ほこらって、こんなにおっきかったっけ・・・?」
「ううん・・・ものすご〜く小さかった。しかもみすぼらしいカンジの・・・」
「・・・ですよね〜・・・」
「あ、わかった。ワープかも・・・」
「どこに・・・?」
「・・・さ、さぁ・・・」

いったいどうなっているのだろう。
急に不安になったふたりは、何か手だてはないか、再び辺りの様子を観察した。
すると、前方ななめ前に、和服の群れに交じって洋服を着ているふたり組を見つけた。


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