月曜日。
「なぁ、黒須〜」
「ん〜?」
「誰かさぁ、運動神経いいヤツ知らない?」
「ケイン・コスギ。」
「バカ!そんなのオレでも知ってるよっ・・・そういう意味じゃなくてこの学年に・・・」
「この学年?っていうよりこのクラスにもいるじゃん。」
「え?誰?」
「・・・そっか。お前体育の授業、ついていくのでいっぱいいっぱいだから、他のヤツのこと見てる暇ないのか。」
「ひどいな!」
「はははっ!冗談に決まってるだろ〜。ほら、あいつだよ。あいつ。」
黒須は教室の後ろでギャーギャー騒いでる集団の中心にいるヤツを指差した。
「え〜っと。名前何だっけ?」
「お前1学期もうすぐ終わるっていうのに名前覚えてないのかよ!村上だよ!サッカー部の村上!」
「へ〜・・・」
村上ね。覚えたぞ。
次の休み時間。
今、村上ひとりだ。
机に突っ伏して寝てるみたい。
オレはそ〜っと村上の席に近づいて、声をかけた。
「村上・・・くん?」
「・・・あ?」
不機嫌そうに顔を上げる。
ちょっと恐い。
「ちょっと話があるんだけど、いい?」
「・・・何?」
「いや、ここではちょっと・・・」
「・・・・・・断る。」
「は?まだ何も言ってないんだけど・・・」
「・・・い、言ってくれなくていい・・・」
「え?意味わかんない・・・」
ってオレが言ってる間に、村上はオレの前からダッシュで走り去った。
「・・・ヘンなの〜」
放課後。
部室に向かってひとり歩いている村上の姿を見つけた。
な〜ぅ、げったぁ、ちゃ〜んす!にん!(伊東四朗風)
「村上〜。」
後ろから肩を叩く。
「あ?・・・・・・っ!」
村上はオレの顔を見るなり怯えたような表情を浮かべ、壁際に飛び退いた。
「今ちょうど周りに人もいないし、オレの話聞いてくれる?・・・あのさ・・・」
村上はなぜか顔を強張らせたまま微動だにしない。
なんでだろ?
それにしても・・・いざ口に出そうとすると恥ずかしいな・・・
「オレと・・・」
もう少し!勇気を出せオレ!
「オレと・・・
・・・シンクロナイズドスイミング、やってくんない?」
言えた〜!やったよオレ!
一方、村上は壁に背中をくっつけたまま、ずるずる〜っと座り込んだ。
「・・・ってあれ?村上どうした?」
「は・・・?お・・・お前正気か・・・?」
「うん。黒須から運動神経いいって聞いてさ〜。」
「こ、断る!」
「え〜!いいじゃん!やろうよ〜!」
オレは座り込んだ村上の腕を掴んで立たせた。
「お、お前アタマおかしい・・・」
「おかしくないってば。いたって普通の脳みそだよ。」
「きっとスポンジ状になってるはずだ!」
「狂牛病かよ!・・・ま、今週の金曜日までに返事くれればいいから。んじゃまた明日な〜。」
オレは立ち尽くす村上に大きく手を振り下校した。