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「もうすぐ夏休み、かぁ〜。」
ハァとため息ひとつ。

今年は高校生活最後の夏休みだっていうのに、例年どおりクーラーの効いた部屋で時々高校野球見て、昼にそうめん食って、テレビ見ながら昼寝して、起きたら晩メシで、またテレビ見て、風呂入って寝て・・・の繰り返しなんだろうなぁ。

ホントなら受験勉強で忙しい時期なんだけど、そのまま上の大学にあがるから、そんなに勉強しなくてもいいし。

そうやって地味〜に地味〜に年老いていっちゃうのかなぁ。
そうやって地味〜に地味〜に定年迎えちゃうのかなぁ。

やだなぁ。

日曜の昼下がり。
オレは茹でていたそうめんを流水ですすぎながら、自分の現在と将来について考えた。

「よしっ、完成〜。」

テーブルの、テレビに一番近い席を陣取り、そうめんをすすった。

ずるずる〜。
うま〜。

お昼のニュース番組の、悲しいニュースやそうではないニュースをぼ〜っと見つめながら、そうめんを流し込んでいく。

スポーツニュースで高校野球の地区予選の模様が流れた。

こいつら、オレと同い年なんだな。
勝っても負けても輝いてる・・・オレと違って。
一生懸命打ち込むものがあって、その力を試すことができるなんてうらやましいよ。

そうめんすすってるオレの存在が、なんだかすごくちっぽけに思えてきた。
またこの「そうめん」って食材が、ちっぽけ感に拍車をかける。

ちっぽけ感に襲われて高3から野球始めるのもバカみたいだしな。

「・・・ごちそうさまぁ・・・」
ガラスの器を台所に運び、テレビの真ん前に寝っ転がった。

『続いては・・・』
高校野球の話題が終わり、キャスターが次のニュースを伝えている。

オレはそのスポーツニュースの主役たちに魅入った。
「この人たち・・・すごく輝いてる・・・」

ふと、オレの中で名案が浮かんだ。

「いいな、これ・・・」


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