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発表会当日の日曜日。

前日突如として天気図に現れた台風の目が、今日になっていきなり猛威をふるい始め、日本列島に暴風暴雨をもたらした。

オレたちの街だけが難を逃れる、なんてことはなく。

 

オレたち5人はプールへ向かう。
プールの手前で水泳部の顧問が待っていた。

「残念だが、今日のシンクロは中止だ。」
「そんな・・・」
オレは言葉を失った。

「ちょっと待ってください!来週に延期とかできませんか!?」
安岡が顧問に訴える。

「プールの老朽化が進んでいて来週末から修復工事が入ることになっている。
だから延期ではなく中止ということになるな。残念だが。」

「ふざけんなよ!夏休みみんなで頑張ったんだよ!来週に延期できなけりゃ台風が来てもやらせてくれよ!」
村上が顧問に詰め寄り、懇願する。

「お前らだけでなく観客にもしものことがあったら学校の責任になる。そう易々と許可をおろすわけにはいかん。」

客はすでに高校のロビーに集まってきていた。
オレたちは重い足取りでロビーに向かい、客の前に立った。

「今日は・・・雨の降るなか集まってくれてありがとうございました。さっき、学校側から・・・中止するように言われました・・・。
みんなであれこれ考えて、みんなでいっぱい練習して、頑張ってきたんですが・・・悔しいです。すいません・・・」

オレは客に向かって頭を下げた。

「お兄ちゃん!」

あ、スポーツクラブのバアサン!

「お兄ちゃんたち!スポーツクラブのプールでやったら?」
「・・・え?」
「あそこなら屋根もあるし、雨が降ろうが風が吹こうが槍が降ろうが平気でしょ?私たちからも頼んであげるから、行ってみましょ!ね!」


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