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終業式終了後。

シンクロ主要メンバー5人が初めて全員揃って集まり、顔合わせ兼ミーティングを行った。

今日は人数も多いので、お重は3段だ。

「黒沢先輩、弁当となると妙に張り切るよね。」
北山に冷静に分析された。

弁当をつつきながら、合コンのように順に自己紹介をした。

次に北山が学校のプールの使用状況を説明した。
水泳部が使用するのが朝の9時から4時までの間。
プールの使用できるのが6時半まで。
それまでに片付けなどを済ませないといけないため、6時がリミットとなる。

「正味、1日2時間が限度か。」
村上が机の上のルーズリーフに書記っぽく書き込みながら呟く。

「プール使えない時間に何かできることないかなぁ。」
とオレが言うと、村上に「お前は泳ぎの練習やっとけ」と言われた。

わざわざ言われなくてもわかってるっつ〜の!

「シンクロってさ、水に入る前にもポーズ決めたりしない?そういうのを練習したりもできるでしょ。」
「水の中での立ち位置の確認とかな。」
2年のふたりからも意見が出される。

「オレさぁ、水に入る前にちょっと踊りたいなぁ〜♪」
「はぁ〜?!」
安岡の意見にみな一斉に同じリアクションをとった。

「マジメにシンクロしてもつまんないじゃん。オトコがやるっていうこと自体がはっきり言って“おふざけ”なんだからさぁ、真剣にやっても仕方なくない?
見に来た人に楽しんでもらえるような、なんかインパクトあることしようよ。笑わせるところはバシッと笑わせて、魅せるところは魅せる。
どう?おもしろくない?」
安岡が熱く語る。
どこ見てんだろ。また妖精?

「たしかに安岡の言うとおりかもしんねぇな。オンナのマネしてもキモいだけだろ?客が“ドン引き”しても困るもんな。
だったらお笑い路線も入れた方がいいかも。」

村上がルーズリーフに安岡の案を書き入れた。

その後、今回の演目のテーマや、曲の候補、いつまでにこれを完成させるという大まかなスケジュールなどを決めた。

次は5人の役割分担だ。

陸でのダンス振り付け担当は安岡。
言い出しっぺだからという単純な理由で選出したが、本人はいたってうれしそうだ。

水泳部との調整やプール使用許可などの担当は北山。
言わば水泳部の顧問やキャプテンなどのご機嫌伺い。
北山は部のエースだから、彼に文句を言う者はいないだろう、と酒井からの提案があったからだ。

お笑い部分を作る担当は酒井。
「オレかよ!」とめちゃくちゃ不服そうだったが、村上が半分脅したようなカタチで就任。

村上はその他大勢の人集めと仕切り担当。
北山も水泳部でノリのよさそうな奴の名前をピックアップするとのこと。
あとは村上の交渉(別名:脅し)次第だ。

「なぁ、オレは何を担当しようか?」
「弁当担当でいいんじゃね?」
「オレはケータリングか!」
「夏場だし、腐らないようにしといてね。」
「おぅ。わかった。」
「結局作るんかい!」

 

ひとまずプランの骨組みはできた。
後は日が進むにつれ決まっていくだろうということになった。

最後に全員で携帯の番号とメアドを交換した。

「これにてお開きにしたいと思います。」
村上が円楽のように締め括った。


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