「ゆ、ユタカ・・・どっち行く?右か?左か?それとも大階段か?」
「・・・同時に指差してみる?」
「よし・・・じゃあ、・・・せーのっ・・・!」
ふたりとも、大階段を指差していた。
「だってさ・・・下から敵が攻めてきてたはずだろ?下には隠せないだろ〜?」
「俺も、そう思った〜。」
「じゃ、行くか。」
階段の1段目にふたり同時に足を乗せた、その時。
ヒュン!トスっ!!
上から降ってきた槍が階段の2段目にグサっと突き刺さり、目の前で柄の部分がブンブンと揺れていた。
「ひぃ!」「んげっ!」
「どうする?!」
「駆け抜けろ!」
「う〜わ〜!!」という奇声とともに階段を一気に駆け上る。
トストストス、と背後スレスレに槍の雨が降っているのが、振り返らずともわかる。
大階段の踊り場に到着し、背後での音が止んだことに気づき、やっと振り返る。
階段には凄まじい数の槍が突き刺さっていた。
脇目もふらずに進んだため気づかなかったが、よく見ると兵士の白骨に混じって最近ここで絶命したと思われる死体もある。
「は、はは・・・こりゃ生きて帰れないわ・・・」
「同感・・・」
簡単に息を整えた後、大きく深呼吸し「Go!」の掛け声とともに残りの段を駆け上がる。
が、ここには何もなかった。
「ふぅ・・・。なんだよ〜、罠はさっきのとこだけだったのかよ〜・・・」
フゥ、と息をつきながら、階段の先に続く廊下へと足を踏み入れた。