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廊下には長くて赤いカーペットが敷かれ、それを挟むように両側に西洋の鎧が並べて飾られている。

「ここも何もなさそ・・・」

ブンっ!

背後で風を切る音。
ふたりは同時に振り返った。

「へ?!」「わ!?」

鎧がひとりでに動き出し、ふたりに向かってソードを振り下ろしていた。

「マジかよ!!」

カオルとユタカは足元に落ちていたソードをすかさず拾い上げ、応戦する。

ソードがぶつかり合うたびにキンッという音が城内に響き渡る。
鎧の関節部分を狙って斬りつけると、鎧はガシャンと音を立てて崩れていった。

「の、呪いだぁ!!人が入ってないのに何で動くんだよコレ〜!?」

ひとつ倒したといっても、油断はできなかった。
なぜなら次の鎧がすぐに動き出したからだ。

「ユタカ〜!俺もう帰りた〜い!」
「ごめん!誘った俺が悪かった!・・・けど今さらどうやって抜け出すんだよ〜!?」
「す、進むほか、ない・・・っ!」
「鎧、あといくつある?」
「ざっと見て、まだあと20はある・・・」
「くっそ!もうヤケクソだ!どぅぉりゃぁ〜っ!!」

ソードをブンブン振り回してふたりに向かってくる鎧を、同じくソードで次々になぎ倒して先へ進む。

ユタカが目の前の鎧を斬り払う。
「あと、3つ!」

カオルも負けじと、前へと走って1体を倒し、振り返りざまに背後に迫っていたもう1体を切りつけた。
「ラスト、ワン!」

「ラストぉ〜!!」
ユタカが最後の1体の胴部の繋ぎ目をめがけてソードを振り上げた。

が。

キーン!

何体もの鎧を相手を倒したユタカのソードが、老朽化からか、柄の部分から外れてしまったのだ。

「うそ・・・」

今から銃を取り出す暇はない。

鎧がここぞとばかりにソードを振り上げた。
ユタカは咄嗟に身を屈めた。

ガンっ!!

ユタカは恐る恐る目を開けた。

カオルが鎧の背後からソードを振り下ろしていた。
鎧はソードを振り上げたポーズのまま、音を立てて崩れていった。

「・・・た、助かった〜・・・ありがとう、カオル・・・」
「やればできるだろ〜?俺。」

カオルはニコリと笑みを浮かべて、しゃがみ込んだままのユタカに手を差し出した。
その手を借りてユタカは立ち上がり、今しがた倒れた鎧が持っていたソードを拾い上げた。

「行こう!」
「ああ!なんだか楽しくなってきたよ!」


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