廊下の突き当たりに向かって突き進む。
しかしそこには窓も扉も見当たらない。
「何か、あるね。」
「ああ。でないと、廊下の意味がないし。」
突き当たりには君主だろうか、はたまたその家族であろうか、1枚の肖像画が掛けられている。
向かって右側には大きな姿見。
ユタカが姿見の表面の埃を軽く拭った後、それを押したり引き剥がそうとしたりするが、はずれる様子はない。
「こういうのって、たいていこういうところに・・・」
今度は正面の肖像画をはずした。
「・・・ビンゴ〜♪」
肖像画が掛ってあった場所にはレバーのような物が設置されていた。
周囲を気にしながら、それをゆっくりと動かす。
ギギギ、と鈍い音を立て、姿見が扉のように開いた。
その先には、螺旋の石段が上方へ向かって続いている。
どうやら城の塔の部分のようだ。
「もちろん行くよね?」
「当たり前だろ〜?」
警戒しながら1段1段上がっていく。
「もうここまで来たら妙な仕掛けないよな〜。」
「そう思いたいね・・・疲れちゃったよ、もう。」
1周、また1周、と円を描くように続く階段。
上を見上げるが、どこまで続いているのか予想もつかない。
「まぁだ〜?」
「まだっぽいねぇ〜・・・」
ハァ、ハァと息を切らせながら、次第に重くなる足を引きずりながら上がり続ける。
カオルは足元でカサカサという微かな音を耳にした。
蔦の枯葉が舞っているのだろうかと思いながら構わず先を進んでいたが、今度は足首辺りをツツと這うような感触に足を止めた。
「ん?虫?」
足元に視線を落とす。
塔の窓の外から内側に入り込んだ蔦の先がずるずると地面を這い、足首に巻きついていたのだ。
「え・・・?」
次の瞬間、グイっと強い力で足が引っ張られた。
「うわっ!何?!」
カオルは、バランスを崩しそうになりながらも、持っていたソードで足に絡まる蔦を切断した。