「しゃき〜ん♪」
カオルはジャケットの胸ポケットから金属製の爪楊枝を取り出し、ドアにある鍵穴に差し込んだ。
「何それ?」
「試食用。」
「あっそ。」
爪楊枝でカチャカチャと鍵穴を探るが、手応えはない。
「・・・あれぇ?おっかしいなぁ・・・」
「っだぁ〜っ!イライラする!ったく早くしろよ!」
「だって、鍵開かないんだもん・・・『カチャ』って言わないんだもん・・・」
あれ〜?あれ〜?と首を捻りながら鍵を開けようとするカオルの肩に、ヨウイチが手を置いた。
ヨウイチはカオルをドアの前から押し退けると、腰に差した刀に手をかけた。
ヨウイチの一挙手一投足を、息を飲んで見守る3人。
ヨウイチは刀に置いた手を今度はドアノブに伸ばし、それを掴んで捻った。
「・・・あ・・・」
すんなりと開くドア。
テツヤがカオルの胸倉を掴む。
「テメエぶっ殺す・・・」
「あは・・・どうりで『カチャ』って言わないワケだ・・・」
そんなふたりの間にユタカが割って入る。
「もうっ、ふたりともそんなのどうでもいいから早く中入るよ!」
「ちっ、コイツのせいで話が前に進まねぇじゃねぇかよ・・・」
「っていうか、さっきからこんなに騒いでるのに誰も捕まえに来ないねぇ〜。」
4人は洋館の中に抜き足差し足忍び足で入っていった。