曲がりくねった長い廊下を走る。
その間も城の崩壊は続いており、崩れ落ちる大きな音と震動を背後に感じる。
どれぐらい走っただろうか、やっと廊下の先にひとつの扉が見えてきた。
大きな南京錠が掛っていてまたも脱出に手間取りそうだったが、テツヤが走りながら拳銃を取り出し、扉の蝶番(ちょうつがい)を狙い撃った。
扉は大きく向こう側に倒れた。
扉の向こうは、城の外だった。
「やった〜!やっと出れた〜!」
「・・・ってココどこ?」
城から少し離れたところに出たらしい。
「・・・こっちだ。」
ヨウイチが走り出す。
3人もその後に続いて、森の中をひた走る。
「あった!」
やっとバイクと車が見える場所まで来た。
その奥には、すでに半分ほど崩壊した城が見える。
城はまだ崩れている真っ最中で、瓦礫が車やバイクにも降りかかり始めている。
「早くしないと帰りの足がなくなっちゃうよ!」
「んなこたぁわかってる!」
テツヤがカオルの腕を引っ掴んだ。
「お前、帰りは車乗れ!お前、サイドカーの乗り降り遅ぇから!」
「いてててて!なぁんだよ〜!?」
テツヤは今度はヨウイチにカオルを押しつけ、自分は運転席に飛び乗った。
ヨウイチがカオルの首根っこを掴んで、後部座席に乗り込む。
その横ではユタカがバイクに跨ると同時にエンジンをかけ、ヘルメットも被らず発進した。
車も急発進をする。
走り去る車の中、カオルが後部座席から振り返った。
城は地響きを立て、完全に崩れて落ちた。
その震動が伝わり、車が小さくバウンドした。
少しでも出発が遅かったら、崩壊に巻き込まれ、瓦礫に押し潰されていただろう。
カオルはまたひとつ、大きく息をついた。