ユタカが喉をゴクリと鳴らした後、その盃をそっと持ち上げた。
ガタンっ!!
「ぃえ?!」「おぁ!?」
台の周辺の床が抜けたのだ。
「うわぁ〜!!」
ふたりの身体は真下へ向かって落下していく。
「せっかく手に入れた『大地の盃』、死んでも離さないもん!!」
落ちていく最中も、ユタカは手に入れたお宝を胸元で守るように持っている。
「俺は死にたくなぁ〜〜い!!」
カオルの高い声が塔内に反響する。
塔の底部分が見えてきた。
ふたりは目を固く瞑った。
ザブーーン!!
底だと思った部分は井戸になっており、地面への衝突は免れた。
「・・・っぷはぁ!カオル、大丈夫?!」
「は、腹打ちしたけど、だいじょぶ・・・いってぇ〜!!」
井戸の中を泳ぎ、水から上がれる場所を探す。
「あ、あっち!」
ユタカが指差す方へ泳いでいき、床へ這い上がった。
そこにはまた石製の台があった。
塔の底部であるにもかかわらず、その台に月光が降り注いでいる。
「ま、また落ちるなんてことないよな?」
カオルは床をトントンと踏み締めながら、台へと近づく。