「で、どのくらい前からここに?」
「え〜っと、たしか1年半ぐらい前からだったかな・・・村上くんで12人目ぐらい?
なぜかみんな1、2週間で出てっちゃうんだよね〜。何でかなぁ?」
「お前がここにいるからに決まってんだろっ!」
「あ、そうだ!あのねぇ、村上くんの前の住人、可愛い女の子だったんだよ〜。ホント、あの頃はよかった!」
「そりゃあ、こんなむさ苦しい男より可愛い女の子の方がいいだろうなぁ。」
「むさ苦しい言うな!」
「それでね、それでね、その子がさ、俺がいるのわかってるのに男連れ込んで、ヤるんだよね〜。」
「マジ!?」
「見てたの?」
「見てたぁ〜☆ナマだよナマ!めちゃ興奮したぁ!女の子も見られることですっげぇ興奮してさぁ!」
「それでそれで!?」
「でもねぇ〜・・・興奮のあまりものすごく近くまで見に行っちゃって、相手の男に見つかっちゃった・・・。
男は気味悪がって途中で抜いて逃げ帰っちゃうし、かと言って俺はこんな状態だから入れれないし。
生殺しだったよホント!」
「ぎゃははははは!」
「お前ら、つまんねぇ下ネタで意気投合してんじゃねぇ〜!」
「てっちゃん何ピリピリしてんの?」
「黒沢さん、年、いくつ?」
「ハタチ。」
「なんだ!俺らと同い年じゃん!“くん”とかつけなくていいよ〜。」
「じゃあ俺も、“さん”なしでいいよ〜。」
「あ!」
「ヤス、どうした?」
「黒ポンってさ、この先もずっとここにいるの?」
「おばけにあだ名つけてんじゃねぇよ!」
「恐らくそうなるんだろうねぇ〜。」
「いなくていいっつうの!」
「テツ、ひとりエッチどうするの?」
「なっ!!?」
「“一人暮らしでエロビデ鑑賞!”っていうのがスローガンだったのに。黒ポンいたらできないじゃん。どうするの?」
そんなこと全く考えてなかった・・・ぬぅぉ〜!俺の楽しみがぁ〜!
「え、村上、エロビデ見るの好きなの?!やったぁ〜!俺も一緒に見させてもらお〜っと!」
「アホか!」
「ひとりでする時、前もって言っておいてくれたら俺出掛けるしさ、遠慮しなくていいよ〜?」
「なんでお前に予告しなきゃいけねぇんだよ!」
「予告ホームランみたいだな。」
「わははははは!」
「帰れ!お前ら全員帰れ!」
なんとか3バカトリオを家から追い出して・・・俺はふて寝することにした。
この後の講義に出る気もすっかり失せてしまった。
黒沢も昼間は眠いのか、部屋の隅に丸まって眠っている。
昨夜こいつが現れたおかげで、睡眠らしい睡眠を摂ることができなかったため、俺はすぐに深い眠りに入っていった。