「あ・・・え・・・?」
「き、消えた・・・」
「大丈夫なんだろうか・・・」
「あいつ時々ワケわかんねぇ行動するからかなり心配なんだけどな・・・」
俺たち4人は様変わりした部屋の真ん中に放心状態で座っていた。
どれくらいそうしていただろうか。
明け方、俺の携帯が鳴り響いた。
知らない番号だった。
「・・・もしもし?」
黒沢のお母さんからだった。
『あの子が・・・
意識を取り戻しました・・・』
「ほ、ホントですか?!」
3人に黒沢の意識が戻ったことを伝えると歓声が起こった。
「よかったですね!俺も・・・すっげぇうれしいですよ!」
『ありがとうございます』
黒沢のお母さんは、目を覚ました後、あいつがぽつりぽつりと話した内容を教えてくれた。
「長い夢を見てたんだ・・・」
目覚めた後の第一声はこんなひとことだったらしい。
部屋に戻ると、空き家と化していた―――それが夢の始まりだった。
次から次から、いろんな人間がそこに現れて暮らし始めた。
が、自分はなぜかその部屋を離れることができない。
結局住民は気味悪がってすぐ出て行ってしまった。
そのうち新しい住民も現れなくなり、空き家にひとりでのんびり暮らしていたある日、帰宅すると俺「村上」が寝ていたのだそうだ。
初めは凄まじい勢いで追い出されそうになったが、途中で諦めたのか一緒に住まわせてくれることになった。
黒沢は「村上には酒井・北山・安岡っていう友達がいて、4人ともとてもいい奴だった」と話したらしい。
彼らのおかげで、大学に入って初めて大学生らしい日々を過ごしたんだ、とも言ったそうだ。
そんな矢先、急に“死ぬほど”胸が苦しくなった。
安岡が付きっきりで看てくれた。
「俺、もうすぐ死ぬのかな」と思っていた時、部屋を見渡すと夢が始まる前の状態に戻っていて、4人に帰って来いと呼び止められた。
そこで夢が終わって、目が覚めたのだ、と。
黒沢のお母さんが「それは夢じゃないんじゃない?さっき村上君たち3人が病院に来てくれたのよ。」と話すと、「そうか・・・あいつらと出会ったのは夢じゃなかったんだな・・・よかった・・・」と言って眠りに就いたそうだ。