「テツ!雄二から聞いて飛んできたよ!」
玄関のドアが開き、ここから一番家の近い安岡が部屋に駆け込んでくる。
「黒ポン・・・!」
安岡が黒沢の横に座った。
黒沢は相変わらず胸を押さえたまま、肩で息をしている。
「安岡ぁ・・・俺どうしたらいいんだよ・・・俺のせいか?俺がこいつを外に連れ回したから・・・だから・・・」
俺は頭を抱えた。
「テツがしっかりしないでどうするの!」
「しっかりしたらこいつが助かるとでも言うのかよ!」
「こんな時に何ケンカしてんすか!そんなことより今は黒ポンの心配しなさいよ!」
たった今部屋に到着した酒井が、俺と安岡に向かって怒鳴る。
「もうすぐ北山も来るから。落ち着いてくださいよ、ふたりとも。」
「すまん・・・」
「ごめん・・・」
俺ら3人は為す術なく黒沢をただ見つめていた。
「黒ポンは!?」
「北山・・・見てのとおりだよ・・・」
「・・・黒ポン・・・」
北山が崩れるように座り込む。
「俺、ここに向かいながら考えてたんですけどね・・・」
酒井が沈黙を破る。
「黒ポンのこと調べたら、苦しんでる原因とか解決方法とか・・・わかるんじゃないかなって思うんだけど・・・どうだろうか。」
「調べるって、どうやって?」
「おそらく・・・俺らと同い年で、1年半前にこの部屋に来たってことは、俺らと同じで去年G大に入学したんじゃないかと。」
「あり得る!」
「とりあえず大学へ向かうか?」
「学生課!」
「お!そうだな!」
4人一斉に立ち上がる。
「待って!」
安岡が声を上げる。
「黒ポン置いていけないから、俺ここに残るよ・・・」
「そうだな・・・誰か残らないとまずいよな・・・じゃあ頼むよ。」
「安岡、なんかあったら電話しろよ。」
「ん・・・みんなも進展あったら電話入れてね。」
「じゃ、行ってくる。」
俺は酒井と北山を連れ、大学へ向かった。