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「ユタカ!テツヤをカオルの元へ運ぶぞ!」
「う、ん・・・」

ヨウイチは意識を失ったテツヤをそっと抱え上げると、顔面蒼白のユタカの手を引き歩き出した。

テツヤを普通の病院に連れて行くことはできない。
しかしカオルならテツヤを何とかしてくれるのてはないかと思ったのだ。

エレベーターに乗り、1階に到着する。

血だらけの犬を抱え、ガードマンの格好をした若者を連れた男の登場に、玄関ロビーは騒然となった。

ヨウイチは騒ぎを物ともせずビルの外へ出て、警察車両にユタカとテツヤを乗せる。

パトランプを鳴らしながらアクセル全開でカオルの元へと急いだ。
ヨウイチは運転しながら無線で捜査本部と連絡をとり、今日あったことを事細かに説明した。

 

パトカーがカオルの動物病院に到着すると、そのけたたましいサイレンにユウジが飛び出してきた。

「一体、何事です?!」

運転席から降りたヨウイチが後部座席のドアを開け、瀕死状態のテツヤを抱え上げる。

「テツヤじゃないですか!早く運んでください!こっちです!」
ユウジが診察室へと案内した。

「どうしたの〜?何の騒ぎ〜?」
少々暢気なムードを醸し出しながら、カオルがペタペタと現れた。

「『どうしたの〜?』じゃないですよ!テツヤが大変なんです!」
ユウジがカオルを叱りつける。

「ホントだ!すぐ手術するよ。ユウジ、手伝って。」
「はい!」
「君たちは外で待ってて。」

早速、緊急手術が始まった。

ユタカとヨウイチは待合室の長椅子に腰掛けた。
ヨウイチとユタカは祈るように両手を組み、頭を垂れた。


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