1時間半後。
診察室のドアが開いて、カオルが現れた。
「カオル先生!テツヤは!?」
「テツヤ君、一命を取り留めたよ。」
「よかったぁ・・・」
「今は麻酔が効いてて寝てる。1週間ほどここで安静にしてもらうよ。」
「見舞い、来ていいの?」
「当たり前だよ〜!ユタカ君が来てくれてパワーをあげたら、早くよくなるよ、きっと。」
無事に手術が終わり、ヨウイチは事件の後始末のために現場へと戻っていった。
それからしばらくしてテツヤは目を覚ました。
「ここ、は・・・?」
「カオル先生のとこだよ。」
診察台のテツヤを取り囲むように、ユタカとカオルとユウジが丸椅子に腰掛けていた。
「まさかねぇ、あの『探偵d.o.G.』がテツヤだったとはねぇ。」
ユウジが感心するように言う。
「何だよ、ユタカ。こいつらに言っちまったのかよ・・・ったく・・・」
「当たり前じゃん!だってこんなかっこいい犬の飼い主になれて、俺、誇りに思ってるんだもん。」
ユタカは胸を張って答えた。
「でもさ、あんなに動物嫌いだったヨウイチがテツヤ抱えて来たからビックリしたよ〜。
今回のことで動物嫌い克服できたんじゃない?」
カオルがニッコリと笑った。
「あの〜・・・非常に言いにくいんですが〜・・・」
いきなりユウジが申し訳なさそうな表情で小さく片手を挙げた。
「ん?どうしたの?ユウジ。」
「実は〜・・・カオルに飼われる前、あのヨウイチって人に撫でられそうになって、思いっきり手を噛んじゃったんですよ〜・・・。」
「へ・・・?まさか・・・ヨウイチ兄ちゃんの動物嫌いの原因って・・・ユウジだったの?」
「そ・・・それは・・・ヨウイチに言わない方がいいな・・・。」
カオルまで申し訳なさそうな表情になってしまっている。
「・・・あ・・・そうだ。ねぇ、テツヤ。『d.o.G.』って『dog』って意味?」
「まぁ、それもあるけどな。」
「それも、って何?」
「俺が好きなAVのタイトル『ドキドキお姉さん○スポット』の略。」
「はぁぁ?!」
「そ・・・それも・・・ヨウイチに言わない方がいいよ・・・。」
診察室を妙な沈黙が襲っている頃、現場のヨウイチは大きなクシャミを2回した。
「どこがの誰かが俺のこと噂してるのかな・・・。さ、仕事仕事。」
end