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「カオル!大丈夫か!」
「こんな苦しそうな飼い主置いて、お前はまた出て行くのか?長年飼ってくれた恩も返さずにか?」
「くっ・・・」
ユウジは唇を噛み締めて、顔を背けた。

「信じてやれよ。まずお前がカオルを信じてやんねぇことには、カオルはお前を理解しようにも理解できないんじゃねぇか?」

テツヤがユウジを説得していると、カオルがユウジの腕の中でうっすらと目を開けた。

「・・・君は・・・誰・・・?」
「え・・・あ・・・あの・・・」
「君は・・・ユウジに似てるね・・・」
「!!」
カオルの言葉にユウジは絶句した。

「ユウジ・・・どこ行っちゃったのかな・・・。ずっと待ってるんだ・・・ユウジが帰ってくるのを・・・」
「あ・・・あ、の・・・」
「俺・・・ユウジを怒らせてしまったのかな・・・悲しませてしまったのかな・・・。もしそうだったら・・・ユウジに謝りたいんだ・・・」

「ち、違う!アンタは悪くない!」
ユウジは堪らずに声を上げた。

「俺は自分の弱さから逃げただけだ!カオルは悪くない!」
「え・・・?」
「俺だよ!ユウジだ!わかるか?!カオル!」

「おかえり・・・ユウジ・・・」
カオルはユウジを見上げ、小さく笑みを浮かべた。

「ずっと嘘ついててごめん・・・俺、こんなだから・・・だからっ・・・」
「気にしなくて、いいよ・・・俺はユウジが帰ってきて、うれしいよ・・・」

「ユウジ、早く寝かせてやれよ。俺たちは帰るから。」
「ユウジ、後はよろしくね。カオル先生、お大事にね。」

ユタカとテツヤは、カオルの病院を後にした。


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