1週間後、ユタカは犬型のテツヤを連れ、カオルの元を訪れた。
カオルの傍らには、彼に寄り添う犬型のユウジがいた。
「今日も動物園の検診があるから。ついて来てくれるよね?今から準備するから、待ってて〜。」
カオルは、ユタカとテツヤの答えを待たずにペタペタと診察室を出て行った。
その後をユウジがついていく。
「カオル先生、ユウジが帰ってきてうれしそうだね〜。」
「あぁ、『浮かれ気分・5割増』って感じだな。」
「はははっ!たしかに!」
「おまかせ〜。」
黒い診察カバンを手に提げたカオルと、人型のユウジが現れた。
ユウジは服を着、黒いキャップを被って頭にある耳を隠している。
「その節はど〜もっ♪」
ユウジがニコッと笑って片手を小さく挙げた。
「俺の助手のユウジだよ。」
カオルがユウジの肩に手を置き、あらためて紹介した。
「ユウジ似合ってる!カッコイイよ!」
ユタカはユウジの扮装を誉め讃えた。
「こうやって人間の格好で一緒にカレーとか食べに行ってるんすよ。ね?」
「うん。」
ユウジとカオルは顔を見合わせて話した。
「じゃ、行こうか!」
「は〜い!」
カオルとユウジ、ユタカとテツヤは病院を出た。
「ちょっと!カオル!戸締まり忘れてるってば!」
先頭をペタペタ歩くカオルをユウジが呼び止める。
「あはっ・・・忘れてたぁ〜。ごめんごめん〜。」
カオルはポケットの中の鍵を探しながらドアまで戻ってきた。
「ホント、アンタは俺がいないとどうしょうもないんだからっ。」
「ユウジぃ〜、そんなカリカリすんなよ〜。」
「やっぱりカオル先生にはユウジがいなきゃダメだね。」
ユタカはテツヤに耳打ちした。
「あれでちょうど一人前って感じだな・・・」
テツヤも悪態をつきながらも笑みを浮かべた。
「今度ユウジの服借りて、オレたちもどこか行かない?」
「じゃあ、セクキャバ♪」
「え?!せく・・・?」
固まるユタカを置いて、テツヤは軽快にカオルとユウジの後をついていった。
【つづく】