『おやまぁ、威勢のいいことで・・・。ですが・・・アナタがたはまだご自身の状況がよくわかってらっしゃらないようですね。』
「何っ・・・?!」
『威勢がいいのも、今のうちだけですよ?』
窓の上にある、ダクトから音がして風が入ってきた。
『この空気の中には一酸化炭素が入っています。濃度が上がっていくと・・・結果はわかりますよね?』
「お前ら・・・!あの仏さんもこうやって・・・!」
腕で口元を覆いながら村上が叫ぶ。
『や、安岡・・・?!』
窓の外から、聞いたことのない声が安岡を呼んだ。
「お前っ・・・!無事だったんだな!よかった!」
安岡が駆けていく窓の向こう側に、お付きの男と門番の男に掴まれた若い男がいた。
どうやら彼が、安岡が探していた『行方不明の友人』のようだ。
『安岡くん?・・・君のお友達が、この部屋から脱出できるボタンを作ってくれているんですよ。
テレビの裏に、スイッチが2つ並んでいる機械が置いてあるでしょう?
赤いボタンと青いボタン。どちらかを押すとドアが開くようになる。
しかし誤って反対のボタンを押してしまうと、一酸化炭素の濃度が急速に上がる。・・・さぁ、どうします?』
「なんだって・・・?!」
俺たちは、テレビに向かって走った。
霊能者が言うとおり、5センチ角ぐらいの四角い箱のようなモノが置いてあった。
その上部には、赤と青のボタンがついている。
『さぁて、助かるのは、赤か青か・・・どちらでしょうね?
まぁ、アナタがたには当てることはできないでしょう。それがわたくしに逆らった罰なのです。』
「俺に貸せ!イチかバチか押してやる!」
村上が手を伸ばそうとしたのを、俺が横からすかさず取り上げる。
「ムヤミに押しちゃダメだ!死にたいの?!」
「死にたかねぇけど!じゃあどうすればいいんだよ!」
『安岡っ!そのボタン・・・』
『余計なことを言うな、このガキっ!!』
何かを言おうとした安岡の友人が、門番の男に殴られ、その場に崩れ落ちるのが見えた。
「やめろ!殴るな!・・・ふざけんなよ、このっ・・・!」
「安岡、落ち着け!!」
ガラスを殴りかかろうとする安岡を酒井が制している。