「あのぉ、そういうの、ありきたりでつまんなくない?なんか、もうちょっとインパクトを持たせるとか。」
「インパクト?例えば?」
「う〜ん、例えば〜・・・文学作品でいえば『竹取物語』とか?」
「はぁ?何言ってんだ村上。かぐや姫もバアサンも女だぞ?」
村上の発言に、酒井が振り返って聞き返す。
「かぐや姫とか、ほら、黒沢にさせりゃいいじゃん。身長的にも。ほら、古くさい顔立ちだし。」
「はぁ?!何で俺がかぐや姫なんかやんなきゃなんねぇんだよ!
それに俺、全然古くさくないし!そもそも身長だったら安岡も低・・・」
「黒沢、ナニゲにヒド〜い!」
思わず立ち上がって熱弁する俺と、俺のコトバにつっかかる安岡。
静まり返っていた教室が、福本伸行のマンガみたいにざわざわと騒がしくなる。
「はい、みんな静粛に〜。では、黒沢くん、反対意見をどうぞ。」
北山に促され、改めて発言することにした。
「村上の意見には断固反対です。村上は俺をからかうために、『一緒に漫才やろう』とか『女の役しろ』とかヘンなことばっか言ってきます。
女の役なんてやらされたら、俺、全校生徒にいじめられてしまいます。これは、ある種『新しいイジメ』だと思います!」
「イジメぇ?!バぁ〜カ、イジメじゃねぇっつ〜の。」
「あっ、ほら、みんな聞いた?今俺のこと『バカ』って、『バカ』って言っ・・・イジメ、はんた〜い!イジメ、かっこわる〜い!」
「子どものケンカかよ。しかもいじめられてる悲壮感なさすぎだろ?」
「これは虚勢なんですぅ〜!こうやって強がっていながら、でもココロの中で『え〜んえ〜ん』って号泣してるんだよ!あ〜、ホントやだやだ!こんなヤツの言うことなんて聞いちゃいけませんぜダンナぁ〜!・・・・・・はっ!」
し、しまった!ついノッてしまった・・・!
教室中のみんな、笑ってるし!
あ〜、マジ恥ずかしい・・・おでこと髪の生え際のあたりに、イヤ〜な汗がブァ〜ッと浮き出てきたよ・・・。